8.二度目の邂逅 ページ10
「Aさん、今日の予定は?」
朝8時半。
向かいあわせで朝食をとりながら、沖矢はAに問いかけた。
「今日は何もないよ。どうして?」
「それなら、ドライブがてら一緒にショッピングでも如何です?」
「おお、楽しそう。ぜひ。」
そんな今朝の会話から数時間後。
Aと沖矢は、町にあるデパートに来ていた。
「広いですね。迷子にならないように、Aさん。」
「…」
「手でも繋ぎますか?」
「さっきからバカにしてない!?」
言い合いの末、沖矢に素早く手を繋がれたAであった。
Aの浮かべていた不服な表情もいつしか消え、沖矢の右腕には紙袋がいくつも掛かっていた。左手は依然Aと繋いだまま。
すべてAのために買われたものらしく、紙袋の中には高級な服やアクセサリーたちがひしめき合っている。
「ねー昴さん、買いすぎじゃない?」
「たまにはいいじゃないですか、贈り物くらい。」
「でもこんなにたくさん…しかも全部高かったじゃん、昴さんは値段ほぼ見てなかったけどさ。こんな綺麗な服着れな───」
曲がり角を曲がった途端、角から出てきた男の人とぶつかりそうになった。
すんでのところで沖矢がAの手を引き、衝突は免れた。
金髪に褐色肌の男───安室透である。
「おっと、すみませ……Aさん!?…それに、沖矢昴さん。」
「うわ、安室さん!…って、あれ?昴さんとお知り合いだったんですね。」
「ええ、まあ…ちょっと縁があるだけですよ。」
神妙な面持ちで沖矢を見つめる安室。
ふとAは安室の隣にいた女性を見た。この人、確かポアロで…。
「あなたがAさん?私、榎本梓って言います!安室さんと同僚の!わあ、安室さんの話通りの可愛い子ですねえ…」
「ちょっ、梓さん!」
梓はAの顔をじっくり眺めて、くすくすと笑う。
容姿を褒められることは久々で、Aはとても恥ずかしかったのだ。
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作者名:ンョョ | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/DhbwLy
作成日時:2023年4月8日 2時