【名探偵コナン】トリプルフェイスとプロゲーマー女子【安室透】 (ページ7)

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５．自己紹介ページ7

「確かに私、あなたのお名前知りませんね。」

驚いた表情から一変してけらけらと笑うA。
安室は右手を差し出し、Aに握手を求めた。

「安室透です。ポアロで働きながら、毛利探偵事務所で見習いと助手をやってます。」

「私は小栗Aです。会社とかで働いて…はないんですけど、ちょっと特殊な仕事をしてます。」

「特殊な仕事？」

Aの返答に、安室の顔がほんのり曇る。

(まさか、裏の人間か？)

「そんな大した意味はないんですけど！今はまだマイナーな仕事ってだけで…プロゲーマーです。元。」

その言動から彼女が裏の人間ではないことを察し、人知れず胸を撫で下ろした安室は、いつもの笑みに戻っていた。

「へえ、元ということは辞めてしまったんですか？」

「辞めたというか、引退しました。賞金は充分手に入ったので、今は隠居がてらストリーマーを。」

「そうなんですね。プロになれる腕前なら、相当お上手なんでしょう。」

「まあ…ある程度は出来ますけど、世界にはもっと上手い人がいますよ。私よりもね。」

ゲームの世界には、メキメキと頭角を現す超新星がたくさん居る。
世界王者であれど、それは一瞬の栄光。
その時代は儚く終わり、次世代の新しい風が吹き、プロの卵が今日もどこかで産まれているのだ。
そうして世界は回っている。

安室とAは芝生に座り、川の水面に映る満月を眺める。白い犬はAの足元をクンクンと嗅ぎ、興味深く注視していた。

「この子のお名前は？」

「ハロです。」

「ふふ、ハロちゃん。はじめまして。」

右手を差し出すと、ハロはAの指先に鼻をつけて匂いを嗅いだ。
「撫でてもいいですよ」と安室に言われ、Aはハロの顎下をわしゃわしゃとかいてやった。
Aはハロを撫でながら、しずかに語り出す。

「日本でeスポーツっていうと、認知度はまだまだ少ないんです。でも、いつか野球のように国民的なものになってほしい。その先駆者になりたくて、私はこの道を選びました。引退しても、私の歴史は刻まれ続けてるから。」

「……ふふ。かっこいいですね、Aさんは。熱い信念を持っている…。」

ちなみに、と安室が続ける。

「どんな大会を？」

「FPSの世界大会です。参加者全員ぶっ倒してきましたよ。まあ…1年前の話ですけどね。」

Aは照れくさそうに笑い、鼻の下を軽く撫ぜた。