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無事に校舎へたどり着いたAは更衣室で制服に着替え、濡れてしまったインナーのタンクトップと体操服を袋に突っ込んだ。帰ったら洗濯!と気合を入れるA。
そのとき、くしゅん!とくしゃみが出てしまったが、鼻になにかのホコリでも入ったのだろう。そう、Aはそのときそう思っていたのだ。
べったり濡れた靴下に不快感を表しながら下駄箱へ行くと、刀也が傘を持って待っていた。びしゃびしゃなAを見てニヤニヤ笑う刀也。腹立つ顔!!!
「A、ざまぁ!」
刀也の傘を奪い取り、彼の膝裏へ容赦なく叩きつけると、情けない悲鳴が廊下に響いた。
「うー…ん。」
Aは、えもいえぬ熱さに小さく唸った。
お風呂に入って一時間以上経っているのに、なぜか顔が火照っている。逆上せたのだろうか。
刀也は明日の予習を熱心にやっていた。
その集中力を乱してしまうのも悪く感じてしまったAは、ダイニングテーブルに“先に寝てるね。おやすみ。”と書いたメモを残す。
Aはベッドへ雪崩るように倒れ込む。
シーツのひんやりとした感触に熱が冷えて、なんとも心地よい。Aはすんなりと意識を飛ばした。
翌日、AM6:30。
刀也はアラームの音で目が覚めた。いつもならベッドから立ち上がったときにふわりと香ってくる朝食の匂いが、今日はしない。
少々不審に思いながらダイニングへ出ると、キッチンにはAの姿はなかった。
(おかしい。Aならこの時間から朝食を作り始めている頃なのに。)
Aの部屋からアラームは聞こえない。というか、聞こえたと思った瞬間、止められた。
Aは起きているらしい。よかった、と胸を撫で下ろす刀也。ただのちょっとした寝坊か。
ドン。
突如、鈍い音がフローリングを揺らした。
これは…中々重さのあるものが倒れた音だ。
「A?………開けますよ?」
ノックをして呼びかけてみるも、中からの反応はない。どうにも嫌な予感がする。
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ンョョ(プロフ) - すず。さん» すず。様、コメントありがとうございます〜!更新遅めですが頑張ります! (2023年2月19日 23時) (レス) id: 795bb29f75 (このIDを非表示/違反報告)
すず。(プロフ) - とても好きな作品です!これからも更新頑張ってください! (2023年2月19日 21時) (レス) @page21 id: 43a5a8ad4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ンョョ | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/DhbwLy
作成日時:2023年1月17日 12時