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「学校へは専属の付き人が車で送ってくれるように手配しておいたから、毎日それで行きなさい。必要なものはネットで買えるでしょう…ああそうそう、食材は一週間分を用意してあるからそれで済ませなさいね。買い物は都度自由に行っていいわよ。」
それじゃあいつも通り仲良くね、と言って母親は帰っていった。その瞬間、お互いに被っていた笑顔の仮面がずれ落ちる。
どうしてこうなった。
「ふざけるなよ、なんで僕がAと結婚なんですか?あまりに唐突すぎる。」
「それはこっちのセリフだよ、刀也の顔をまた見ることになるとは思わなかった。さいっあく!」
お互いに不満をぶつぶつ呟きながら距離をとる。しかし、後には引けない。
強制的に仕組まれた運命だとはいえ、まだ若い高校生にこの状況を打破する力などないのだから。
ふたりははたりと押し黙った。
ほんとうは複雑な心情で、いがみ合っているのが精一杯だ。
しんと静まり返った部屋に、スマートフォンのバイブ音が二度響いた。刀也のスマホからだ。
「…もしもし?あー…父さん。どうしたの。……うん、さっきAのお義母さんから説明受けて。今新居にいるよ。」
電話の主は刀也の父親らしい。
対する刀也の顔はめちゃくちゃ引き攣っている、なんか頬もぴくぴくしてて笑顔が気持ち悪い。いつもの数倍キモい。
もちろん電話越しの相手には、その顔は見えないけど。
Aはいち早く間取りを覚えるため、とにかく室内をうろうろしていた。こうでもしていないと落ち着かないのだ。
一通り見終わったあと、電話を終えた刀也はダイニングのソファへどかりと座り込んだ。
制服のネクタイを気だるげに緩める姿に少々ドキッとしたAだったが、すぐに目を逸らす。
見間違いだ、あんなもの!
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ンョョ(プロフ) - すず。さん» すず。様、コメントありがとうございます〜!更新遅めですが頑張ります! (2023年2月19日 23時) (レス) id: 795bb29f75 (このIDを非表示/違反報告)
すず。(プロフ) - とても好きな作品です!これからも更新頑張ってください! (2023年2月19日 21時) (レス) @page21 id: 43a5a8ad4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ンョョ | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/DhbwLy
作成日時:2023年1月17日 12時