珊瑚の海 9 ページ9
「だああ〜〜……っ」
我ながら女子とは思えない声を出しながら中庭のベンチに座る。
すっっっごい疲れた。昼間のジェイド先輩との食事で精神をすり減らし、午後の怒涛の飛行術授業で体を酷使し、もうヘトヘトだ。
バルガス先生はいい加減特別メニューと称して鬼の筋トレさせるのやめてほしい。
あとこっち見ながらクソほど笑ってたエースに関してはあとで殴りに行こうと思う。首をはねるぞ。
ふぅ、と一息ついて目を瞑ると今までのことがぶわーーっと脳内に流れた。
魔法が使える異世界に来て、最初はほんとーーに死ぬんじゃないかこれって思ったけど
なんだかんだ上手くやってるし、ご飯は美味しいし、みんな優しくしてくれる。
でもなあ。
やっぱり寂しさは消えない。
家族に会いたいし、友達にも会いたい。月9ドラマの続きも気になるし、今度見ようと思って録画してた音楽番組だって結局見ていない。あーーーそういえば英語の課題やりっぱなしだったな。まいっか。
いつ帰れるか分からんし。
ていうかもし帰れたとして、なんて言えばいいんだろう。
あっちの世界とこっちの世界の時間がずれてて、帰った時に誰も私のこと覚えていなかったらどうしよう。
最近疲れてたし、誰にもこの悩みは言えない。
それでも帰れる方法は見つからないし、魔法が使えない私はみんなのお荷物になっているんじゃないか。
一個負の感情が出てきたら、止まらなくなってしまった。
「…ぅう……」
両膝に顔を埋める。
こんな外で堂々と泣くのは気が引けたけど、思いと反対に涙は流れていく。
泣いたって、何の解決にもならないのに。
.
「おや、Aさん」
「!」
少し高い声が近くで聞こえた
この声は、
「アズール先輩…?」
「そうですよ。あなた、こんなところで一体何を?体調でも悪いのですか」
「いや、なんでもないです…」
「…あなた、泣いてるんですか」
そりゃあ気づくよなぁ
ずっずって鼻水吸ってるし、声は涙声で震えてるし。
てかよりによってアズール先輩に見つかった。
泣くなんて馬鹿らしい、とか言われるかな。もし言われたらモストロ・ラウンジのバイト辞めよ。
ぐるぐる考えても、アズール先輩は何も言わずに目の前に立っている。
…逆に怖い、なんか言ってよ……
何か用ですか、そう声に出そうとしたとき
キィ、と小さくベンチが音を立てた。
アズール先輩が、隣に腰掛けた。
846人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彩希(プロフ) - とても面白くて見入ってしまいました!続き楽しみにしています! (2020年4月28日 0時) (レス) id: 4c7fa5bd09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ササミ x他1人 | 作成日時:2020年4月18日 15時