【twst】うみはきらい。 (ページ5)

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珊瑚の海　5 ページ5

「おはよぉ、小エビちゃん」

次の教室へ行こうと廊下を歩いていたとき
フロイド先輩が隣から現れた。

この人は神出鬼没でどこから現れるかいつも分からない。

ジェイド先輩なら分かるだろうけど、私からしたら少しビビってしまうのでもっと自然に現れてほしい切実に。

「おはようございます、フロイド先輩

先輩も今から授業ですか？」

「うん、でもだり～からサボり場所探してたぁ」

「ちゃんと出なきゃだめですよ」

「小エビちゃん、ジェイドみたいなこと言うね」

ふわ～ぁ、と先輩は大きな欠伸をした
相変わらず鋭い歯は綺麗に揃っていて、あれに噛まれたらひとたまりもないだろうな…と恐ろしいことを考えてしまった。気分屋な彼はいつその沸点を超えるか分からない。やはりこの先輩には逆らわないほうが無難だ。

それでも今日は機嫌がいいほうだと思う

なんてことを頭で考えているうちに、不意に小エビちゃん、と呼ばれた

「はい……うわっ！」

ぐいっ、と腕をひかれフロイド先輩の胸に飛び込む

あまりに急なことで心音がバクバクしているが、当の本人は私の頭の上でケラケラと笑っている

「オレさ、結構小エビちゃんのこと気に入ってるんだよね」

「はあ…」

「ずぅっと一緒にいたいな～って思ってるんだぁ」

「いだだだ！！」

ぐぐぐ、と
気のせいかどうか分からないけど抱きしめる力が強くなってる気がする

まってほんとに苦しいんだけど！？！

こんな時にグリムは授業前に逃げたし場所は人通りの少ない廊下だから誰も通らない。

「先輩、ちょっと苦しいで「だからねぇ」

すり、とフロイド先輩の手が私の足に回される

予想以上に冷たいその温度は、この人は本来海で生きているものなんだということを思い出させた。

「オレ、ぜぇったいAのこと海に連れて行くから」

そう言うと腕を離し、じゃあまたねぇ小エビちゃん、とどこか楽しそうにフロイド先輩は廊下を進んで行った。

「(し、死ぬかと思った……！！！)」

解放された安心感とさっきまでの恐怖で手には汗が滲んでる。
何がなんでも海に連れていく気なんだ…なんでそこまでして私を海に連れて行きたいんだろう

私は人魚でもないし、ろくに泳げやしないし、連れていくメリットが分からない。
海は嫌いだから、きっと私がいくことはない。

「はあ…急ごう」

授業に遅れないためにも、私も駆け足で廊下を進んだ。