きんぷり。【King&Prince】10 (ページ5)

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蠢く世界ページ5

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A

@＿

なんなの花園A、アイドルやる気ある？

@＿

しつこいなぁ出てくんなよ

@＿

もう喋んなくてもうるさいんだけど笑
存在が笑

『…』

電気のついてない部屋にスマホの光だけが灯され

自分の顔が窓に映る

それをスマホ越しに確認してはうずくまり倒れ込むように横になる

止まらずに流れ続けるネットは

気付かぬうちに私を蝕んでいく

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『辞めようと思ってるんです。…キンプリ』

「…、は？」

初めて目が合った瞬間だった

私のことをちゃんと視野に入れてくれた瞬間

もっと早く

もっと嬉しい話の時にこう反応してほしかったけど

私の感情がちゃんと届いたと実感したのは

残念なことにもう辞めることが半分決まっていた時だった

『事務所も』

「いや、…いま大事な時期だぞ？それ分かってて」

『だからです。だから辞めようと思ってるんです』

大事な時期だから

邪魔しちゃいけないと思って

『…。そういうことなので、失礼します』

「いやさぁ…全く動機が見えないんだけど。そもそもメンバーにはなんて言うんだ？」

『…』

「まさか言わないつもりか？」

部屋を出ようと背を向けた途端に飛んでくる言葉

その言葉が私の背中に刺さって増えて傷になっているのがこの人には見えないのだろうか

「負けるのか…、誹謗中傷やら何やらに」

『…』

分かっているなら聞かないでほしい

『失礼します』

辞めようと思ったのはそれだけじゃない

ただそれも含まれているのは事実

でもほんの一部なんだ

理由となってる大部分はもっと別にある

私がアイドルでいることに

私が1番意味を感じなくなってしまった

ここ最近のどこの記憶を切り取っても

絵コンテのように部分部分でしか思い出せないのは何でだろう

昔の記憶は

しっかり映像で流れてくるのに

『…ふぅ』

きっと、1番の理由は

"第1控室 King&Prince様"

このドアの向こうにある。