・ ページ12
.
「お母さん再婚する」
ミンハオのお母さんは持ってたグラスを置いて背筋を伸ばし、緊張気味にその一言を口にした。
全く予想もしてなかった報告に、私は「えっ」と声を漏らしちゃって。
本当ならすぐ「おめでとう」って祝福してあげたかっけど、昔両親が離婚した時のミンハオの泣き顔を思い出して、その言葉を飲み込んだ。
ミンハオはどう思うんだろう。
言葉には１度も出した事はないけど、きっとお父さんをずっと待ってたんじゃないかな。
心配になってチラッと隣を見ると、お母さんを見つめるその横顔は酷く穏やかで。
戸惑う様子もなく「おめでとう」って言うと、ふわりと柔らかく微笑んだ。
「え…ゆ、許してくれるの？」
多分、反対されたり機嫌を損ねたりする事を覚悟してたんだろう。
ミンハオのお母さんも拍子抜けしたようにキョトンとしてる。
「許すも何も。お互い大人なんだから俺の許しなんて必要ないでしょ」
「でも、」
「母さんを幸せにしてくれる人なんでしょ？なら何も問題ないよ」
席を立っておばさんの傍に寄り添い、肩を抱いて「良かったね」って心から嬉しそうな笑顔を向けてる。
おばさんもホッとした表情で「ありがとう」ってミンハオの手に自分の手を重ねた。
よく考えたらそうだよね。心配なんて必要なかった。
ミンハオは優しくて親想いで、あの頃苦しんでたおばさんの事を一番近くで見てたんだから。
きっとホッとしてる。
「あ〜緊張したっ！！これでやっと美味しいお酒が飲めるわ！」
おばさんは満面の笑みを浮かべ、お母さんと喜びの乾杯を交わす。
「良かったねぇユンちゃん！せっかくだからたまにはカラオケバー行かない？久しぶりに」
「いいね！行こ！！タクシー呼ぶわ！」
二人して女子高生みたいにはしゃぎまくって、さっそく出掛ける支度を始めた。
私とミンハオは顔を見合わせて、お互い無言なんだけど視線だけで「うちら行かないよね〜」って確認しあう。
てかお母さん…やっぱり片付けしないつもりだよね…
「何してんのアンタ達、行くよ！」
「あ、私とミンハオは後片付けしとくから二人で楽しんで来ていいよ」
「あ、そう！？じゃお願い！助かる！」
あっさり言うと、振り向きもせずさっさと二人は出て行った。
…どうやったらあんな風にいつまでも若くいられるなか不思議だ。
ある意味羨ましい。
「A、飲み直そ」
「うん」
一気に静かになった空間で、二人きりの飲み会が始まった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 340人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜(プロフ) - テテテテさん» テテテテさん、読んで下さって本当にありがとうございます！楽しんで頂けたようで心から嬉しいです！またエピソード追加していきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします^ ^ (2022年7月9日 18時) (
レス) id: 3e22852134 (このIDを非表示/違反報告)
テテテテ - シリーズ、とても面白くて一気見してしまいました！！情景や感情の表現がすごく上手でとても楽しかったです(^-^) (2022年7月9日 11時) (レス) @page25 id: 7f77bb0a6b (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - apricot384さん» 楽しく読んで頂けてよかったです！放置してて申し訳ないですm(_ _)mひとつ連載のものが完結しましたので、こちらも再開していきますね！楽しみにして下さってありがとうございます^ ^ (2022年2月28日 17時) (レス) id: 3e22852134 (このIDを非表示/違反報告)
apricot384(プロフ) - 楽しく読ませていただきました！続きが気になります！更新ゆっくりでいいので待ってます꙳★*ﾟ完結してほしいです！よろしくお願いします！ (2022年2月28日 15時) (レス) id: 5c0405314d (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - かなさん» いるので、本当に嬉しい限りです！何回も読み返して頂けるの、幸せすぎます(；ω；)偉そうなんかじゃないですよ、ご指摘でもご要望でも、何かしらのお言葉を頂けるだけで嬉しいのに、いつも素敵なご感想ありがとうございます！幸せな気持ちです！ (2020年7月21日 23時) (レス) id: 7c3bd25805 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nyar
| 作成日時：2020年6月30日 6時
