もう一つの輝き［ウマ娘］ (ページ4)

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2話ページ4

彼女のサンバの事を話し終わった後、私達は雑談を始める。トレーナーと生徒という間柄だが、彼女には変な気遣いなしで気楽に話せる。

いつのまにか夕日はほとんど沈み、辺りは薄暗くなっていた。

自分の時計を見ると、もう午後6時近く。そろそろ解散だ。

彼女もそれに気付いたようで、

「もう暗いね～、そろそろ帰ろっか！」

と言い、自分の荷物を持ち、私を催促した。

私は『うん。』と返事をし、2人で屋上に続く階段を下っていった。

補習も終わり、ほとんどのウマ娘が帰った校舎は人気がなく、1人では怖いが、彼女と話していればそんなことはなかった。

とりとめのない雑談をしていると、

「ねぇ、君、担当のウマ娘はもう決まったの？」

と、彼女はとんでもない爆弾発言をした。

なぜとんでもないか？

今のところ、ほとんどのスカウトを断られ続けている新人トレーナーの私にとってはライフを99%削られるくらいのダメージがある言葉だからだ！

『うっ……、まだ……です……。』

私が苦し紛れにそう答えると、彼女は、

「私にしたら～？私もまだ担当決まってないしい～。」

と、ニヤニヤしながら言ってきた。

こいつ。面白がってるな。

この前何人かからスカウトを受けた、と彼女から聞いたが、「チームには所属したくないし…、あの人とはなんか合わなそうだし…」という理由で断ったそうだ。

私も彼女にスカウトしようと考えたこともあるが、この話を聞いてから、スカウトしても断られそうな気がしたのでやめたのだ。

『そんな簡単なノリで決められないでしょ。この先を左右するんだから。それに、私はまだ貴方の走りを見たことないし。』

ため息混じりに私が言うと、彼女は私の前に仁王立ちになって、

「じゃあさ、今度私が出る模擬レース、見に来てよ！そしたら私の走り、見れるでしょ？来週の水曜、ダートの1600。絶対だよ！」

と言った。私はその剣幕に押されてうなずくしかなかった。

私の仕事がまだ残っている為、彼女とトレーナー室の前で別れた。