Utopia (ページ23)

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…father

仕事を終わらせ帰宅した

玄関を開けるとリビングに明かりがついてる事に気がついた

父「誰か起きてるのか？」

ゆっくりとリビングのドアを開けると

ソファーに座ってアイドルの映像をじーっと見つめるAの姿が目に見えた

『あ、お父さんおかえり』

父「まだ起きてたのか、ただいま」

帰ってきたと分かると同時にさっきまでアイドルを見ていたテレビを消し、おかえりと声をかけてくるA

『お父さんカレーあるから…食べる時温めてから食べてね？』

何故か少し落ち込んでいるように見えるがありがとうと言った後、Aは寝ると言って部屋に戻った

父「食べようかな」

幼い頃のAは元々料理する事に興味があったが、不器用ながら妻と一緒に少しずつ学んでいた

妻が亡くなってしまった後、私自身料理が出来ない人だったので出前を頼む事が多かった

父「久々のカレーだけど美味いな…」

いつの日だろうな…毎日出前を頼んで過ごしていたんだが、下の子供たちが急にもう食べたくないと言い始めたんだ

それから食べようとしない下の子供たちを見て何を思ったのかは分からないが、突然Aが一人で料理をするようになったんだ

父「ごちそうさまでした」

それからAは妻と一緒に作った料理を作り、レパートリーが無くなると本屋で料理本を買ってレシピを見ながら作り続けた

今では創作料理や余った食材をかき集めて料理することがたまにあるくらいだ

父「ん？なんだこれは？」

食べ終わったお皿を洗いながら、どっからかカレーの匂いがする

ゴミ箱の中を見ると袋に入れられて捨ててあった

父「残りものか？食べなかったのか？」

優「アッパ、おかえり」

息子のユウが後ろから急に現れた

父「ただいま。ユウご飯ちゃんと食ったか？いつもみんな残さないはずなのにカレーが袋に入れられて捨ててあるのを見つけたんだ」

それを聞いたユウは下を見て俯いた

優「みんなご飯は食べたんだよ。だけど色々あって残っちゃったんだよね」

何かがあったんだとすぐに察した

父「どうしたんだ？何かあったのか？」

優「アッパが出てた番組みんな見たんだ。それでヌナのアイドルの夢の話で……喧嘩したんだ。特にカイは途中大声で怒鳴ってご飯を残して部屋にずっといる」