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*story57 昌信side ページ8

僕に眩しいぐらいの笑顔を向け、本を抱えてまたドタドタと賑やかに去って行った。

昌「…本当、可愛い子だなぁ」

クスッと笑い踵を返すと、

昌「本当、あの子は向上心の塊だね」

昌「!?昌豊…」

突然視界に昌豊が入ってきて、心臓が飛び出そうになる。

昌「あはは…。実はちょっと前からいたりするんだよね…」

昌「いつもの事だけど、心臓に悪いね…」

二人で苦笑し合い、彼女が去って行った方を昌豊は見る。

昌「僕が買ってあげた本、もう読んでいるんだね」

昌「あの本、昌豊が買ってあげたの?」

昌「そうだよ。さっき町に出た時は元気がなかったし…」

そういえば、町に行く時は浮かない顔をしていたけど、さっきは生き生きと輝いていたな…。

昌「あの子、昌信にとても懐いてるよね」

昌「そうかな?昌豊にも信玄様にも、みんなに懐いてると思うけど…」

昌「だけど、ここに来る途中に信春さんとかいたのに、昌信のところに真っ先に走って行ったよ?」

昌「えっ、そうなの?」

昌豊の言葉に、僕はとても嬉しくなる。

それだけ彼女に信頼され、頼られているんだ。

貴「こらー!!待て昌景ー!!」

昌「うるせー!!追いかけてくんなー!!」

遠くでもう聞き慣れた二人の争いの声がする。

昌「…また昌景の愚痴を聞くことになりそうだね」

昌豊が困ったように、だけど柔らかい顔で言う。

昌「そうだね。お茶菓子の用意をしておかないと」

僕も困ったように笑い、その場を後にする。

台所に向かいながら、僕は彼女の笑顔を思い出していた。

『昌信さん!!昌信さん!!これはなんて読むの!?』

本を抱えて、楽しそうに僕の後をくっついてきていた最初の頃。

だけど、今もあまり変わらない。

彼女といると楽しいし、何より落ち着くし、温かい気持ちになる。

貴「昌信さーん!!聞いてよー!!」

後ろから不機嫌そうな顔をした彼女が現れる。

昌「ん?また昌景のことかな?」

ブンブンと首を縦に振り、頰を膨らましている。

昌「それじゃ、僕の部屋でお茶でも飲みながら聞くよ」

ポンポンッと彼女を先程と同じように撫でると、僕の羽織をギュッと掴む。

貴「…いつもありがと」

昌「!!」

思わず抱きしめたくなるが、グッと堪える。

昌「君に頼られて、僕は嬉しいよ」




代わりにそう言い、彼女に微笑みかけた。

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ふく - おかかさんのこのお話、大好きです。続きを本当に楽しみにしています。 (2020年3月5日 21時) (レス) id: 61180c9817 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜 - 小説消されると書くのが嫌になりますよねでも頑張ってください待っています (2018年10月30日 12時) (レス) id: 53aaf76c78 (このIDを非表示/違反報告)
サケ - 続き消されましたか?それでも頑張って下さい (2018年8月20日 0時) (レス) id: ced462d407 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - あの続編消されてしまったんですか? (2018年8月14日 9時) (レス) id: 40a916232a (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです♪ただ今スランプのため…もう少々お待ちいただけると幸いです…!これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2018年2月28日 15時) (レス) id: 4fe1a36d40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おかか | 作成日時:2017年11月14日 15時

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