＊story99 ページ50
声を辿り、鍛錬している信玄さんを見つけた。
この光景、初めて会った時と同じだ。
貴「おはよ、信玄さん」
信「！！」
声をかけると、彼は耳をピクッと反応させて動きを止める。
貴「今日は上杉軍と戦うかもじゃないの？体力残しておかないと」
私がそう言っても、信玄さんはこちらを振り返らない。
怒っているのか、戸惑っているのか。
貴「信玄さん。仲直りしよう」
そう言って、私は信玄さんの方に歩いて行く。
真後ろに立つと、彼はようやく私を見た。
信「…お前、本当にAなのか」
貴「えっ？」
目を丸くして、信玄さんの顔を見る。
その表情は、とても不安そうな顔だった。
貴「……」
あぁ、私なにやってるんだろう。
信玄さんにこんな顔させるなんて。
本当に、自分が嫌になる。
だけど……。
貴「そんな顔させて、ごめんね」
信「っ……」
貴「自分でもどうしようもないんだ。今の私はおかしい。冷静じゃない。自分のことしか考えられなくなってる。…自覚は、してるんだ」
私は、ポケットから一つの紐を取り出した。
赤と黒で編み込んだ、私の手作り。
貴「これね、豊臣領に行った時に作ったんだ。…途中で、あの襲撃があったから、あの時は渡せなかったけど」
それを信玄さんの腕につける。
貴「私の世界で、ミサンガって言われているんだ。自然に紐が切れると、願いが叶うっていうやつ」
信「……」
ミサンガをつけ、私は信玄さんを真っ直ぐに見る。
貴「昨日は突き放すようなことを言ってごめんなさい。…だけど、私が過去に向き合うことが出来るまで、待っていてほしい」
信「…お前の親友が、関係しているのか」
貴「うん。…私はどうも詩音のことになると、冷静じゃいられなくなっちゃうみたい」
苦笑いを向けると、信玄さんは私をギュッと抱きしめた。
貴「っ……！」
信「お前が過去に向き合うことが出来るようになった時、今までのお前がいなくなっちまいそうで、俺は不安なんだ」
貴「…そっか」
私も、信玄さんをギュッと抱きしめる。
信「俺にも背負わせてほしい。お前の痛み、苦しみ、覚悟、全部」
貴「ははっ…。余計に信玄さんの重荷が増えちゃうよ」
本当に、この人は優しい。
貴「うん、そうだね…。せっかくだし、甘えちゃおうかな」
今までも、この優しさに甘えてきた。
迷惑だと思っても、この人がいると安心するから。
だから私も、彼の重荷を一緒に背負えるくらい、強くなりたい。
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ふく - おかかさんのこのお話、大好きです。続きを本当に楽しみにしています。 (2020年3月5日 21時) (
レス) id: 61180c9817 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜 - 小説消されると書くのが嫌になりますよねでも頑張ってください待っています (2018年10月30日 12時) (レス) id: 53aaf76c78 (このIDを非表示/違反報告)
サケ - 続き消されましたか？それでも頑張って下さい (2018年8月20日 0時) (レス) id: ced462d407 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - あの続編消されてしまったんですか？ (2018年8月14日 9時) (レス) id: 40a916232a (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです♪ただ今スランプのため…もう少々お待ちいただけると幸いです…！これからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2018年2月28日 15時) (レス) id: 4fe1a36d40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかか | 作成日時：2017年11月14日 15時
