＊story73 ページ24
次の日。
私たちは出発の準備を終え、武田領に帰ろうとしていた。
結「お二人とも、もう大丈夫なんですか？」
信「俺は大丈夫だ。だけどこいつの傷は、しばらく様子見だな」
貴「別に大丈夫だし！！っ…！！」
信「あまり動くな。傷が開くぞ」
貴「はぁい…」
昌「馬での移動大丈夫かな…？」
貴「大丈夫。歩いて帰るわけにもいかないでしょ！」
昌「あはは！痛かったらすぐに言うんだよ？」
コクリと頷き、私は結月ちゃんを見た。
結「……？」
貴「私はあんたに嫉妬してるし、嫌いだ」
結「えっ…」
秀「まだそんなこと言ってるの？」
貴「秀吉さんのことも嫌い」
昌「おまっ…！なに言って…！！」
信「昌景」
私は手に持っていた風呂敷を結月ちゃんに渡した。
貴「だけど悪いのは私だってわかってる。酷い事ばかり言ってごめん」
結「そ、そんなっ…！」
貴「その風呂敷、傷薬と風邪薬が入ってる。別に捨ててもいいけど、使うんなら使えば」
結「！あ、ありがとう！！」
私は胸をギュッと掴む。
貴「…私は、生まれた時から重い心臓病を患っていた」
結「えっ…？」
貴「今こうしていられるのは、親友の心臓を移植して病気を治したから。私は親友の犠牲の元生きている」
結月ちゃん、豊臣軍の人は目を丸くしている。
貴「親友と私は同じ夢を持っていた。医者になりたい、薬剤師になりたい。だけど私たちの身体では大人になれるかわからなかった」
結「そんな…」
貴「だけど私は生きている。あの子の分まで努力をしないといけない。薬師という仕事は、私にとって誇りであり、プライドを持って続けなければいけない。私はこの仕事を、誰にも邪魔されたくない」
更にギュッと、胸を掴む。
貴「怠る者不満を語り、努力する者夢語る。だからね」
結「…素敵な言葉ですね」
貴「フンッ」
結月ちゃんに背を向ける。
貴「私はあの子から受け継いだ意志がある。あの子からもらった言葉がある。意志は人から人へと受け継がれていくもの。…この意志があるから、私はあんたに仕事を手伝って欲しくなかった」
結「……」
貴「だから次は、なにも手を出さないでよね」
そして私たちは馬に乗り、豊臣軍の人たちに最後の挨拶をして、出発した。
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ふく - おかかさんのこのお話、大好きです。続きを本当に楽しみにしています。 (2020年3月5日 21時) (
レス) id: 61180c9817 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜 - 小説消されると書くのが嫌になりますよねでも頑張ってください待っています (2018年10月30日 12時) (レス) id: 53aaf76c78 (このIDを非表示/違反報告)
サケ - 続き消されましたか？それでも頑張って下さい (2018年8月20日 0時) (レス) id: ced462d407 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - あの続編消されてしまったんですか？ (2018年8月14日 9時) (レス) id: 40a916232a (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです♪ただ今スランプのため…もう少々お待ちいただけると幸いです…！これからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2018年2月28日 15時) (レス) id: 4fe1a36d40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかか | 作成日時：2017年11月14日 15時
