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『ニュウドウカジカってなに？』
｢あら、ご存知無いですか？先程のあなたにソックリですよ。とくに陸に引き揚げられたニュウドウカジカに。｣
クスクスとお上品に顎に手をあてて笑うこの男はきっと、私に嫌味を言っているのであろう。
だけど、私はニュウドウカジカを知らないから痛くも痒くもない。
｢棗さん！次お願いします！｣
｢はい。……では、失礼します。｣
スタッフさんに呼ばれた棗という男は私に軽く微笑んで去って行った。
ニュウドウカジカという知らない生物の名前を残して。
｢ま、まあ……気にすんな！！あいつはああいう奴なんだよ。でも悪い奴じゃねぇから許してやってくれ。｣
『……そんなにニュウドウカジカってやばいの？』
赤髪の男の人に肩をポンッとされ、何故か慰められる私。
頼むから誰かニュウドウカジカを教えてくれよ。
｢ん、これがニュウドウカジカ。｣
『……あいつの綺麗な顔もニュウドウカジカにしてくる。』
悠に見せられたニュウドウカジカの画像を見て、私は棗という男の顔面をニュウドウカジカしてやろうとしたら、必死で止められた。
｢おい、ハル！止めるの手伝えよ！！｣
ケラケラ笑ってる悠に私を羽交い締めしたまま、大声でそう言う赤髪の男。
お前まず誰だよ。
｢ハル！いい加減笑うのやめろ！お前もとりあえず落ち着け！ほら！ドーナツやるから！！｣
｢つか、トウマだってさっき吹き出してたじゃん。｣
『さっき吹き出してたのお前かよ。』
｢ブフォッ！｣って声の正体はこのトウマという男だったらしい。
何でニュウドウカジカ知ってたんだよ、お前。
｢ニュウドウカジカは俺も良く知らないけど、あんた割りと顔整ってると思うぜ？元気出せよ。｣
『今更褒められても元気出る訳無くない？』
何やら色気がやばい男が私の頭をポンポンしながら、慰めてきた。
あーこの人は何か知ってる。
私の持ってる雑誌に抱かれたい男ランキングに居た気がするわ。
名前なんだったっけ？
｢次、御堂さん！準備お願いします！｣
あー、そうそう。御堂虎於だ。
学校で有田さんが御堂虎於のことが好きって話してんの聞いた事あるわ。
｢虎於で撮影終わり？｣
｢いや、ハルはラストその子と一枚撮り直しがあっただろ。｣
悠の質問に答えたトウマさんの言葉に私はため息が出た。
帰りたい。
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作者名：@羽黒 | 作成日時：2023年12月12日 1時
