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『はぁ……何で私なの?』



「だって何でも言う事聞くって言ったのはあんたじゃん。」






今私、どこにいると思う?


更に私何してると思う?







「はーい!じゃあ、君手を亥清くんに差し出してくれる?」



『………ん。』



「おい、中指立てんな!!」








カメラマンさんに言われて私は悠に中指を立てて差し出してやった。


私が悠にされたお願いはモデルのお手伝い。



とは言っても、私が写るのは後ろ姿とか手だけ。






「じゃあ、次亥清くん軽く首に顔を寄せてみよっか!」



『………おい、何照れてんだよ、早くしろよ。』



「て、照れてねぇし!……」






恐る恐る悠が私に抱きつくように首に顔を寄せてきたりするけど、私が雑誌にのるのは精々後頭部ぐらい。



顔が写らない私は超真顔。帰りたい。



ひと通り撮影が終わったらしく、私はスタッフさんに渡されたコーヒーをチビチビ飲んでいるとカメラマンさんが近付いてきた。






「いや〜、今日は助かったよ。急に女の子がクビになっちゃってさ〜!元々その子評判は良くなかったんだけど、どうやら妻子持ちの男にちょっかいかけちゃったみたいでさ〜!!」






ペラペラと一般人に内部事情を話すこのカメラマンをクビにした方が良いと思う。


私じゃなかったらやばかったぞ、おじさん。





「こらこら、前野さん。彼女は一般人なのでそういう話しはこの辺にしといて下さい。」



「あ、ああ!すまんすまん!君、ここだけの話にしといてくれよ!」



『うーす。』





カメラマンさんは焦りながら去って行き、何だか穏やかな笑みを浮かべた人が私の前に立つ。


此処にいるって事はこの人もZOOLか……。


つか、顔整い過ぎて怖い。


何食ったらそんな顔で母体から出てこれる訳?








「あなたが亥清さんの同級生の方ですか?」



『あ〜……はい、一応クラスメイトです。』






何だか読めないようなミステリアスな雰囲気の人で、悠と違って絡みずらそうで顔が引き攣る。








「ふふ、そんな警戒なさらないで下さい。何だかお顔がニュウドウカジカみたいになってますよ。」



『…………。』





綺麗に笑いながら何かに例えてきたけど、ニュウドウカジカってなに?



少し離れた場所から「ブフォッ!」と吹き出す声が聞こえてきたから、良い例えでないのだろう。





「ニュウドウカジカご存知ですか?とても可愛らしいですよ?」




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作者名:@羽黒 | 作成日時:2023年12月12日 1時

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