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｢ラストすいません、亥清さんと帆導さんお願いします！｣
前野とかいうカメラマンさんが気に入らなかった所があるらしく、ポーズを変更して撮りたいらしい。
｢君、亥清くんの腰に軽く絡みついてくれる？｣
『………こう？』
｢いや、何か違う……何かそれじゃ亥清くんに捨てられた女みたいだよ……。｣
『いや、私のイメージそれだったから合ってる。』
｢君のイメージでやっちゃ駄目！合ってないし間違ってるから！！｣
何やら怒られた私は悠から離れると、ポーズを変更する事になった。
そんなに悠にすがる女のポーズは駄目か。
｢じゃあ、亥清くん。帆導さんの頬に手を添えてキスするよな感じで顔を近付けてみて。｣
｢っ、……え、｣
『どうしたの？』
ガチッと体が石の様に固まった悠。
純粋な悠にはこれはキツいよ、前野さん。
これは当分悠は駄目かもしれない。
しゃーない……早く帰りたいしなぁ。
_____ 帆導、動きます。
｢！！いいねぇ！！いいよ〜！！帆導さん！！｣
｢っ、！なっ、！！｣
『いいから。黙ってさっきの真顔で立ってろ。』
悠の頬に手を伸ばして緑の綺麗な悠の髪を耳にかける。
そのまま私から悠の顔にゆっくり近付いた。
｢っ、！_____ くそっ、！｣
『わっ、！』
何が悔しかったのか分からないけど、逆に私の後頭部に手を回しグイッと自分の顔の方に強引に引き寄せる。
悠より断然背が低い私は悠を見上げる形になり、悠の前髪がくすぐったくて目を細めた。
｢はい！OK！最高だよ！！！君たち良いね！！｣
大満足の前野カメラマンは撮った写真を確認しながら鼻息を荒くしていた。
私も確認すると上手い具合に私の顔は悠の前髪で隠れており、綺麗に色気のある悠の顔だけが写っていた。
カメラマンって凄ぇ〜。
私が悠の頬に手を添えた写真には、驚きつつも照れて少し頬を赤らめた悠が写っている。
これはこれで良いらしく、前野カメラマンさんは満足していた。
｢なぁ……その、…嫌だったか？……｣
『え、何が？』
｢撮影だよ。……その、…俺が抱きついたり、……か、顔近付けたり……とか……。｣
『別に嫌じゃないけど？相手悠だし。』
私がそう答えると悠は目を見開いた。
その直後に少しギラっとした表情に変わった気がしたけど、一瞬だったから私の見間違いかもしれない。
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作者名：@羽黒 | 作成日時：2023年12月12日 1時
