君を拾った日 ページ1
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「...どうした、こんな所で」
雨の降るある日のこと。
撮影が終わった俺は、帰路に着き、
自宅の傍に小さなダンボールが
ぐしゃぐしゃの状態で置かれているのを見つけた。
見つけたのはただのダンボールじゃない。
...ダンボールの中に、小さく鳴いている「君を」。
’’みぁう..みぁーう’’
真っ白な、青い瞳をした小さな子猫。
小さな身体で、ぐしゃぐしゃのダンボールの壁を
必死によじ登ろうとしているが、
水分を含んだダンボールはそれを阻む。
「...おまえ、誰に捨てられたんだ?」
’’みぁう、みぁう!’’
「...ん?何か言いたいことあんのか?」
俺はそんな子猫に心を痛ませ、そっと抱き抱える。
途端、俺の手から飛び出し胸までよじ登ろうとしてくる。
ぶるぶると寒さで震えながら、
小さな爪を立て、俺の服を掴み、
まんまるの綺麗な瞳で俺をじっと見つめる。
...こんなの、放っておける訳が無い....!
「俺ん家来るか?」
自然とそんな言葉が出る。
家にはマースも居るけど、俺に似て
マイペースなやつだからこいつがきても
いじめたりしないだろう。
’’みぁう!!’’
俺の言葉を聞いた子猫は、
意味がわかってるみたいに元気よく返事。
...こいつ確信犯だ。
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作者名:Luna | 作成日時:2023年9月5日 18時