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「っざけんなよ!!!」
ぱちん、と乾いた音と頬に走る痛み。
あぁ、ここ部屋のあるフロアのエレベーターホールなのにな。
人来たらどうしてくれるの。
突然の衝撃で横に倒れた私に馬乗りになる男。
一週間前、『…好きなんだ』と頬を赤らめて告白してきたはず。
あの時の可愛らしいキミはどこに行ったのさ。
皮肉っぽく見つめれば再び頬に与えられる刺激。
『付き合って』と言われて、顔も悪くないし優しいし "偽った方の私" を好きになってくれたんだし
そう思って承諾した気がする。
三度目の、乾いた音。
「俺で遊んで、楽しかったか?」
…遊んでなんかないけど。
やっぱりこいつ馬鹿なのかなって。
再び手を振りかざしたと同時にポーンとエレベーターが停まる音。
男は慌てて私の上から退き、開いたエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターから出てきたのはスーツ姿の男性。
じろりと私を眺めては、逸らす。
綺麗な黒髪だな、とか めちゃくちゃ綺麗な顔してるな、とか
そんなこと思っても立ち上がれないでいるとようやく決心したのか恐る恐る私に近付いてきた。
「大丈夫ですか、」
そう言って綺麗な手を差し出してくる。
顔からして優しそうな人だもんな、と納得し
お言葉に甘えて手を重ねた。
ぐっと引っ張られるとふわりと浮かんで立ち上がる。
細いのに力持ちなのかも、なんて呑気に考えた。
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作者名:娘娘 | 作成日時:2020年6月6日 15時