-4- ページ4
.
仕事へ行く途中の電車の中。
チャットアプリに新しく追加された【松村さん】の文字を丁寧に飾られた爪の先で撫でる。
…松村さん。不思議な人だなぁ。
こんな時間に出勤している女に、なんにも疑問も持たず接してくれるなんて。
スーツだったからサラリーマンかな。
こんな時間に帰ってくるってことは忙しいのかな。
ぼーっと真っ暗の窓の外を眺めているとブーッと手の中の携帯が鳴る。
パッとディスプレイに目を向けると【松村さん】の文字。
【こんばんは。松村です】
【お仕事終わってからで大丈夫なので空いてる日あったら教えてください】
なんでこんなに優しくしてくれるんだろ。
変な人だな、とまた思いながらも指を進めた。
【こんばんは。Aです】
【土日は基本空いてるので松村さんに合わせますよ】
サラリーマンなら土日の方が都合が合うだろう。
スーツ姿の彼が脳裏から離れない。
久しぶりに人の優しさに触れた気がする。
…でも、少し怖い。
全て話して彼に拒絶されるのは、怖い。
でも、"本当の私" を知ってほしい気持ちもある。
こんな気持ち、初めてだ。
.
206人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:娘娘 | 作成日時:2020年6月6日 15時