・ ページ34
私ばっかり助けられていてはいけない。
難しい韓国語が並ぶバインダーを何度も読み直す。
Aが持つとバインダーが大きく感じるね！と、からかうミンギュを笑いながら叩く。
ちょっとこの空間に慣れてきて、ミンギュのお陰で笑えるようにもなってきた。
「…なんか段階を踏んでるみたい。ちょっとずつ違う」
「実験体、クローンだって」
ポラロイドにあるレポートと一致する文面を見つけた私は、唯一のファイルをじっくり読み込んだ。
人体実験、研究、クローン。
データを入力後、行動を観察予定。
想定外の行動を取る、自我を持つ…。
「…ねぇミンギュ、私ずっと気になってたの」
「なに？」
「最初のベッドに居た人も、あのおじさんも、そこの点滴に繋がれた人もみんな、同じ服だったよね」
「…うん」
「……ここに、脱出を防ぐために服がどうとかって書いてある」
「ほんとだ」
「私もミンギュも、同じ服だよ」
―以前の実験体と一部有機関係が確認。
「同一な状況で再実験、自我を確認…、全部番号が同じ」
「……A、」
「…これ、私たちのことじゃないのかな」
「まさか、」
「……クローン人間なんだ、私たち」
クローン人間の実験に執着し、これを何度も繰り返す博士。
ヒントを与えられた私たちが、どう動くか、そのたびに違うヒントを増やして観察していた。
逃げないと、私もミンギュも…。
「…A、」
「あの鍵がまだ残ってて、でも開けたら時間が無いって…」
「きっと、開けて考えるだけの時間はあると思うし、出口はわかってるから大丈夫」
「…4桁だったよね、番号」
カルテに共通する番号。まさかと思った私たちは、鍵のかかったキャビネットに着いて早々、迷わず番号を合わせた。
「開いた…」
「行こうA、時間がない」
脱出口には鎖だったはず。
棚にあったハンマーではなく、大きなハサミを持って。
"離れてて"と鎖を思いっきり断ち切ったミンギュ。
「ね、俺となら大丈夫って言ったじゃん」
そう笑うミンギュの手を取って、外の空気を吸い込んだ刹那。
「A！」
大きな銃声、火薬の匂い。
相手に背中を向けるように私を庇って。
ミンギュが、倒れた。
「やだ、ミンギュ、やだ…！」
もう動かないミンギュを抱きしめて見上げたその先に、
私と違う服を纏ったミンギュが居た。
「ミンギュ…？」
「あーあ、偽物とはいえAを殺したくなかったなぁ」
「え…？」
研究所に、また大きな銃声が響いた。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1802人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
KEY(プロフ) - いつもありがとうございます🙇いつも最高です！ (2022年10月14日 22時) (
レス) @page43 id: e6e7d876c8 (このIDを非表示/違反報告)
り(プロフ) - すごくキュンキュンします、何回も読み返してます😭 (2022年9月27日 10時) (レス) @page41 id: cb9ba72967 (このIDを非表示/違反報告)
名無し54892号(プロフ) - 作者様のお話本当に大好きなんです…！とってもキュンキュンして読んでるだけでも胸が苦しくなってくるような、本当に素敵な作品だと思います🥲何回も読み返して更新されてるかな？と見に来てしまっています笑決して無理はなさらず続きが読めるのを心待ちにしてます！ (2022年9月4日 15時) (レス) id: 1445cdbb12 (このIDを非表示/違反報告)
あみ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています！！これからも無理のない範囲で良いので更新して頂けると嬉しいです私の生活の一部なんです🥲💞これからも頑張ってください！！ (2022年8月20日 19時) (レス) @page38 id: 0a0a63f7c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - 作者様の作品とても大好きで何回も読み返させていただいています！ これからも無理のないように更新していただけると幸いです！これからも頑張ってください！ (2022年8月20日 16時) (レス) id: cc4c34b3df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゅんちゃん | 作成日時：2021年8月21日 4時
