一枚上手なひと ページ1
「ウォヌオッパ、寝癖ひどいよ」
「…なおして」
洗面所で髪の毛を乾かすAのドライヤーの音で目が覚めた。
髪の毛長いのに綺麗で、ドライヤー疲れた〜なんて言って休み休み掛けてるから時間もかかって大変そうだな。
Aは、いい匂いのするヘアミストを俺の髪にかけようと背伸びするけど届かない。
わざと屈まない俺のことを、じーっと睨むように見つめた。
「ほんと小さいな」
「もう、屈んでくださいよ！」
「やだ」
「直してって言ったのオッパなのに」
「んーもうちょっと背伸びしてて」
「…ほんといじわるするの好きですね」
「うん」
だってかわいいもん。
背伸びしてるAを見るのが結構好き。キッチンの高い場所が届かないだとか、バスルームのタオルの位置が高いだとか。
お立ち台みたいな小さめの脚立だってあるのに、それを使おうとしないプライドの高いところはジフンとそっくりだなと思う。
そろそろ本当に嫌われそうな気がするから、素直に椅子に腰掛けて大人しく寝癖を治してもらった。
ヘアミストのいい匂い、ドライヤーのあったかい風、Aの優しい手つきにまた少し眠くなってきて。大きい欠伸をしたら、Aは眉毛を下げて笑った。
「ちゃんと寝てないでしょ」
「いや、割と寝た。ちゃんと寝たほうがどうしてか眠くなる気がする」
「それはちょっとわかります…」
「人間の欲求ってほんと底深いよな」
ある程度手に入ると、もっと欲しくなる。
Aが悩んでることも結局そうだ。
最初はここまでできれば良いと目標にしていたものを通過すると、どんどんその目標は更新され、高くなる。
ホシに怒鳴られっぱなしで、ディノがつきっきりで練習していたほど男性に紛れるダンスが未熟だったAが、今は教える立場で。
そのことは、何より俺たちがいちばん驚いているし尊敬しているし、誇りに思っている。
でも、自分のことは自分がいちばん知ってるから、どんなに追求しても満足出来ないよな。
「ほら、なおりましたよ」
「ありがと」
偉い偉い、と髪を撫でるとまたむすっとする。
子ども扱いされるの嫌がるくせに、放任されるのは嫌なんてAもわがままだよな。
まあそこがかわいいんだけど。
「どうせキャップ被るのに…」
「いいだろ、これもスキンシップの一環だし」
「…甘えてるってこと？」
「甘えさせて、あげてる、んだよ」
「うわあ、その言い方すごい嫌！」
「ふふ」
Aも結局、俺たちを甘やかすの好きなくせに。
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KEY(プロフ) - いつもありがとうございます🙇いつも最高です！ (2022年10月14日 22時) (
レス) @page43 id: e6e7d876c8 (このIDを非表示/違反報告)
り(プロフ) - すごくキュンキュンします、何回も読み返してます😭 (2022年9月27日 10時) (レス) @page41 id: cb9ba72967 (このIDを非表示/違反報告)
名無し54892号(プロフ) - 作者様のお話本当に大好きなんです…！とってもキュンキュンして読んでるだけでも胸が苦しくなってくるような、本当に素敵な作品だと思います🥲何回も読み返して更新されてるかな？と見に来てしまっています笑決して無理はなさらず続きが読めるのを心待ちにしてます！ (2022年9月4日 15時) (レス) id: 1445cdbb12 (このIDを非表示/違反報告)
あみ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています！！これからも無理のない範囲で良いので更新して頂けると嬉しいです私の生活の一部なんです🥲💞これからも頑張ってください！！ (2022年8月20日 19時) (レス) @page38 id: 0a0a63f7c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - 作者様の作品とても大好きで何回も読み返させていただいています！ これからも無理のないように更新していただけると幸いです！これからも頑張ってください！ (2022年8月20日 16時) (レス) id: cc4c34b3df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅんちゃん | 作成日時：2021年8月21日 4時
