ドギョムストップ ページ8
「A！今日も僕だよ〜っ！」
最近、お迎えにドギョムが来てくれることが多くなった。ドギョムだって忙しいはずなのに、いつも笑顔でおかえり〜！って手を振って大きな声で走ってくる。
私が指導に熱が入って少し遅くなったとき、ドギョムは練習室を見回って探してくれたらしい。練習生たちが、ドギョムに笑顔で挨拶されたと嬉しくなっているのを見ると私まで誇らしくなる。
私を見つけたあと、車椅子を押しながらいつものように楽しそうに歌を歌うから合宿所全体にドギョムの歌声が響いていることも何日も続いて。
「A先生、昨日歌ってたのってドギョム先輩ですか？」
「あは、うん。そうだよ、いつもあんな風に宿舎でも歌ってるの、うるさくてごめんね」
「いいえ、本当に綺麗で声量も大きくて…尊敬します」
「僕もあんな風に歌ってみたいです…！」
「ふふ、ありがとうございます。うちの誇れるメインボーカルです」
イウンサンくんと、イヒョプくんがキラキラした笑顔でドギョムを褒めてくれて尊敬してくれて、本当に嬉しい。
今日、またドギョムが来てくれたらこの話をしよう、と時計を見る。今日は練習に顔を出す予定だし、もうすぐ迎えに来てくれる時間になりそう。
「ジュノくん、声がよく出てきましたね…！感情を込めるのも、コツを掴んできた気がしますがどうですか？」
「はい…漫画を読んだ記憶を何とか引きずり出して…へへ」
「A先生、俺はどうですか？」
「…ヨハンくんも、感情だけでなくピッチも合っているし本当に練習期間が短いのかなと思うくらい上手ですよ」
「よっしゃ〜褒められた！」
あれから、ヨハンくんは私に普通に振舞っている。きっと、私が身近で1番想像のしやすい女性だったんだろうな、と思うことも簡単なのだけれど、あの日のヨハンくんの表情や思いを無かったようにしてはいけないと思う。
あの日、ハニオッパはずっと手を離してくれなかった。シュアオッパが窓から外を眺める表情は鋭く、車内は一言も喋らなかった。きっと、全てを聞いてたんだと思う。
「A〜どこ〜！あ〜…お取り込み中？」
「あ、ソクミナ、大丈夫だよ。挨拶だけしてきてもいい？」
「うん！一緒に行く？待ってる？」
「ふふ、ここに居て！ドギョム先輩の歌声が練習生たちの間で話題なの、困っちゃうんだから」
「えへへ〜わかった！」
ドギョムを廊下に待たせて、同じ階の練習室にいる他のポジションの子達に挨拶をしようと車椅子を転がした。
→
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1356人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さか(プロフ) - ふわふわした話だけじゃなくて、少し辛いお話が混ざってるのがとても好きです。でも、あまり過度ではなく直接的な痛い表現などは避けて書かれているのかなと伺えるので読んでいても辛い気持ちにはなりません。程よく読みやすくとても好きなお話です。 (2月13日 6時) (
レス) id: 4188621a8f (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゃん(プロフ) - 尊都さん» ご期待通りの作品が書けなくて申し訳ございません。似たようなエピソードが多くてマンネリしてしまうよりはと試行錯誤で…優しいお話が少なくなってしまいましたね、ごめんなさい。ほわほわしたお話はTwitterに多いと思います。貴重なご意見ありがとうございました。 (12月26日 8時) (レス) id: 88fa47c8d9 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゃん(プロフ) - 治外法権な鯖缶さん» いつもありがとうございます！マシュマロでもこちらでも、いただいたお言葉を大事に致します…！ (12月26日 8時) (レス) id: 88fa47c8d9 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 題名的にメンバーとのほのぼのとしたエピソードが読めると思っていたのですが、愛故にたくさん喧嘩してますし怒られてますし、サセンが激しいしで題名とのギャップに驚きました笑 少し心が痛いです笑 かわいい夢主ちゃんをたくさん見たいです。更新頑張ってくださいね! (12月26日 6時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
治外法権な鯖缶(プロフ) - 鯖缶です。ジスハンが二人でお迎えはドラマみたいでいいですねー！絵面が強いです！！長文感想やリクはマロで、短いのはこちらで送りますねー！ (11月30日 1時) (レス) id: c33756e305 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゅんちゃん | 作成日時：2020年11月27日 8時
