Condemnation006 ページ6
「………余計な詮索をして悪かった」
「いえ、大丈夫です。まあ普通におかしいと思うでしょうし」
謝罪をする与謝野に青年はシャツを直しながらそう言った。
そう言えば、と与謝野は青年に訊ねる。
「あんた、名前は?」
「名前、ですか」
青年は顎に手を当て、少し考える素振りを見せた後、形のいい口を開いた。
「高木彬光______15歳です」
時が止まった。
見事にピシリという効果音がつきそうな程に与謝野と敦は固まった。
なんか漫画みたいですね、と淡々とした呑気な青年の___いや少年と言うべきか___声だけが部屋の中に響いた。
探偵社中に2人の(主に敦の)驚愕の声が響き渡るのはあと数分後のお話。
***
「お世話になりました」
探偵社の扉の前で彬光は与謝野と敦に丁寧にお辞儀をした。ようやく年齢ショックから立ち直った2人は各々返事をする。
「また今度、お礼をさせてください」
「要らないよ。こっちはそれが仕事だからね」
「僕はほとんど無理矢理連れてきたものだし……」
だから礼は要らないと言う2人に彬光は眩しいものを見るように目を細めた。
「………立派ですね」
「え?」
「いえ、何でもないです。本当にありがとうございました。それでは失礼します」
もう一度頭を下げ、彬光は扉を開けた。そこに居たのは、
「誰?」
「あ、乱歩さん! おかえりなさい!」
探偵社の大黒柱、江戸川乱歩がラムネを手に立っていた。
乱歩は敦に適当に手を振り、そして彬光を見上げる。
「………………君、」
乱歩は彬光を見た瞬間、その細い目を大きく見開いた。
そしてつぅ、とこめかみから汗が一筋流れ出る。
「………」
彬光はそんな乱歩を一瞥し、小さくお辞儀をしてその場を去った。
「乱歩さん………?」
「彼は?」
「え………?」
乱歩は手で口を覆った。顔色が悪い。
「乱歩さん…………?」
「まだ、まだ居たのか………? 彼と同じ_____『騎士王』と同じ種類の___
ヒトも、異能も、超越したモノ_____」
敦、与謝野さん、と乱歩は掠れた声で呼んだ。
「_____彼には気を付けろ」
季節外れの桜の花びらが舞ったような気がした。
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アキラ(プロフ) - 更新待ってます!すごく面白かったです! (2022年9月8日 21時) (レス) @page9 id: a46c7ae3f5 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 内容がとてつもなくタイプなのとすごく続きが気になるのですがもう更新なさらないのでしょうか? (2022年8月26日 18時) (レス) id: e8a57b3ea6 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2021年1月31日 8時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
炎歌 - 更新頑張ってください! (2020年9月13日 23時) (レス) id: e4548ba768 (このIDを非表示/違反報告)
睡眠妨げるもの、死すべき - この調子で頑張ってください!!次の最新待ってます!! (2020年7月21日 9時) (レス) id: ca6e0644d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年6月26日 22時