〃 ページ26
·
·
「……それに、鳴海を殺したりなんかしたらあんたも死ぬだろうからな。それは困る」
「…………」
「"彼女"が死んで、あんたは死に場所を求めさまよった。まあ運良く人のいい人間に拾われたようで良かったよ」
青年は嗤う。
「生きてるのは苦しいもんな。判るよ。俺だってそうだから。死ね、と罵られるのは辛い。憎まれるのも辛い。何より自分の存在が、誰かを不幸にするのが辛い」
青年の胸ぐらを掴んでいたルヴの手の力が緩む。
はっ、とルヴは苦しげに息を吐いた。
「あんたのせいで彼女は殺された。火で炙られ、魔女と罵られ死んだ。あんたが彼女を唆さなければ、彼女は普通の女として幸せに暮らしていただろう。
あんた、今でも苦しいんじゃないのか?」
青年の金の瞳がルヴを射貫く。
「今でも見るんだろう? あの悪夢を。…………19の少女が火で炙られる姿はどうだった?」
「…………れ」
「初恋の人に憎悪の瞳で見つめられるのはどんな気持ちだった?」
「黙れ」
「怖いんだろ? また大切な人を不幸にするんじゃないかって、怖くて怖くて堪らないんだろ?」
「黙れ!!」
ルヴは怒鳴る。
「だったら俺はどうすれば良かったんだ!! 主人の命に背けばよかったのか!? 彼女の運命を無視して助ければ良かったのか!」
あの日、牢の中で彼女は俺に抱いて欲しいと云った。
けれど俺はお前の処 女を奪うことは出来ないと首を振った。あの時の、彼女の顔は忘れられない。
全てを諦めたような表情で笑い、「………そうね」と目を伏せた、あの____。
「………………俺が死ねば良かったんだ」
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←〃
34人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
★ayaka★(プロフ) - 面白かったです。続き待ってます (2019年10月26日 22時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
きなっちょ@本垢(プロフ) - 公開おめでとうございます~!!これからも応援してます!! (2019年10月26日 0時) (レス) id: 9d0e711e2b (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 公開おめでとうございます!ずっと待ち構えていました!これからも応援してます! (2019年10月25日 20時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:灯 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年10月15日 19時