【文スト】メイドさんは聖母様です

＿＿＿＿＿＿＿ ページ21

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リンの異能力、人魚姫はリンが大切だと認識した人物の未来を予見するというものだった。
ただ、リンにとって最悪の未来＿＿＿＿その人がもうすぐ死ぬ、という未来しか視ることは出来ない。

間に合えば、その未来を変えることが出来る。だが、間に合わなければ＿＿＿＿＿。

長い時間を生きてきたリンはそういう場面を多く見てきた。その感覚は麻痺することなく、今でも尚、リンの身体と心を蝕んでいく。

だから、大切な人の死を予見した時、リンは必ず倒れるのだ。




＿



リンが倒れてから数時間が経っていた。


愛は一人、廃校舎の教室に居た。
厳密にいえば、これから人と会う予定だった。

その人は愛にとっては重要な人物だった。ずっと捜している兄の居場所を知っているというのだ。


大切な、たった一人の兄。


血は繋がっていなくとも、家族であることには変わりない。


早く会いたい。



会って話がしたい。




窓の外の夕焼けを眺めながらそんなことを考えていた愛は気付けなかった。


自身に向けられた、銃口に。



安全装置の外れる音がして、愛は漸くそれに気付く。

そして大きく目を見開いた。



U.S.M1917の銃口。そしてそれを構える人物は、眉を下げ笑っていた。困ったような笑い方だった。



「如何して、」
「ごめんね」




橙色に染まった教室に銃声が鳴り響いた。愛の小さな身体がぐらりと揺れる。そして床に倒れる。
赤い、赤い血が薄汚れた白い床に広がっていく。
足音が遠ざかっていく。

いたい、いたい。


愛の目に涙が込み上げる。


＿＿＿＿＿いたいよぉ、おにいちゃん。


＿＿＿＿＿また転んだの？ 仕方ないなあ。おにいちゃんがおんぶしてあげるから。




指が冷えていく。血が、流れ出る。

死ぬんだなあとぼんやりと思う。




死ぬのは、怖くない。って云ったら嘘になる。


だけど、天国には行ってみたいかも、なんて。




「ごめ、ね、おにー、ちゃ」




教室は、赤く染まる。



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ごめんね愛ちゃん·····

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