【文スト】メイドさんは聖母様です

Pige af lys ページ17

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「···········ありしま？」


リンはその名を聞いた瞬間、はっと目を見開く。
そして少女の前で膝を折り、床についた。
そして少女の頬に手を添え、呟く。



「お嬢様······？」


「えっ？」


「·········いいえ、違う···」


「えっと？」


「ごめんなさい、気にしないでください」


リンはふわっと笑い、立ち上がる。
そして青年を振り向いた。



「ヤーコプさん、このお嬢さんはどうされたのですか？」


「あ····買ったんです」


「買った？」


「愛は、人身売買にかけられていて····。でも、絶望していなかったんですよ。愛の目には強い光があった。だから思わず、買ってしまって···」


「そうですか···。愛様、貴女は何故、絶望しなかったのですか？ 辛かったでしょうに····」


「······兄が、兄が居るんです。血は繋がってないけど、迚も優しくて、かっこいい兄が。でも、私と一緒に売られたんです。兄は迚も潔癖だから、きっと絶望して、壊れてしまってるんじゃないかと思ってるんです。兄は闇に呑まれやすい···だから、せめて、私だけは、闇に呑まれまいと···いつか兄と再会した時に、兄の光になれるように····。


それに、絶望したって何も変わらないから。

もうこのまま死んでしまうんだと思うよりも、大丈夫、きっと買ってくれる人は良い人だからって思っていた方が、幾分か素敵でしょう？ ·····だから···絶望するのはやめにしたんです」


少女は笑顔でそう云った。
リンには少女が迚も眩しく思えた。

＿＿＿＿＿嗚呼、この子は迚も強い。




「愛様は迚も素敵ですね」

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