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配達十三:願いを叶える代償は? ページ14









「先生!!」


太宰がその部屋に入ったのは有島が息を止めてから10分後だった。
彼が目にしたのは蒼白い顔で眠るようにベッドに横たわる有島。


それはさながら眠り姫か、白雪姫のようだった。


太宰は顔を真っ青にし、有島に駆け寄り、身体を起こそうとしたが─────



「触るな!!!」


鋭い声が部屋の空気を切り裂いた。
鈴のような可愛らしい声。

振り返るとそこには美しい少女が立っていた。

太宰は大きく目を見開く。



「どうして、君が⋅⋅⋅⋅⋅⋅だって、先生は、」


────息をしていないのに。

有島は死んでいる。葉子は有島の異能力だ。持ち主が死ねば、自然消滅するのが基本だ。

何故、彼女は此処に居る?

誰かに譲渡したのか?



「触らないで。あんたが触ったら本当に(・・・)武郎は死ぬから」


「どういう、─────真逆」



太宰はある考えに辿り着く。それは酷く簡単な答え。




「先生は、死んでいない? 否、厳密に云えば、未だ完全には死んでいない。仮死状態か⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅!」


「そういうこと。だから触らないで」


「君がやったのだね。これも先生⋅⋅⋅⋅⋅君の能力なのかい?」


「そうよ。私はエリスとは似て非なるモノ。只の戦闘能力が高い生命体ではないの。とはいえ、人を仮死状態にすることは出来ない⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅なら何故、私が武郎を仮死状態に出来たのか。それは武郎がそれを望んだからよ(・・・・・・・・・・・・)。死ねばあの男も手を出せない。流石にそういう趣味はないらしいから。恐らく自身を放って逃げるだろうって」


「成る程ね。つまり君は、先生の望みを叶える異能力(・・・・・・・・・・・・)というわけか」


「そんな便利なもんじゃないわよ」



葉子はそう云い捨てた。



「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅死にそうなほど怖い思いをしなきゃ、使えないんだから」

配達十四:赤い科学者、白い機械→←配達十二:問いの答えは



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レン(プロフ) - 完結おめでとう!!恩田ちゃんまで出していただいて本当にありがとう!!大好きな作品でした!!!これからも頑張れ!!!! (2019年2月28日 18時) (レス) id: c18a6b747d (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 完結おめでとう (2019年2月28日 0時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - おにーさん好き… (2019年2月27日 20時) (レス) id: e36d1c7298 (このIDを非表示/違反報告)
海月イオ - とりあえず、全話読んで思いました。めっちゃ面白い!神作!太宰三兄弟やべぇ。 (2019年2月27日 18時) (レス) id: 9edaa1d068 (このIDを非表示/違反報告)
−こま−(プロフ) - テストに有島おにーさん出て来ました!迷わず、選んだけど間違えました!悔いはありません。後悔もありません。笑 (2019年2月24日 17時) (レス) id: 43a4a6fc1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nyam83542/  
作成日時:2019年2月16日 17時

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