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金曜日の夜。
死ぬほど緊張してるのはなぜだ。
先輩と付き合った当初でもこんなに緊張しなかったのに。
自分の胸に手を当てればドキドキと振動が伝わってきて。
一人ベッドに座りソワソワしているとスマホが震えた。
手に取れば「宮舘くん」の文字が見え、急いで応答を押す。
「どうしたの!?」
「ふっ、なんか声デカくない?」
吹き出し笑った宮舘くん。
電話越しの彼の声はいつもより低く聞こえて、耳がくすぐったい。
聞きなれない声にドキッとしながら「ごめん」と謝ると、彼は話を続ける。
「明日何時にする?」
そう、明日の土曜日、ついに宮舘くんとの初デートである。
「何時から大丈夫なの?」
「俺は一日中空いてる。朝からがいい?」
「うん!」
「じゃあ9時半にAの最寄り駅迎えに行くね」
9時半から宮舘くんに会えるんだ。
一人スマホを耳にあてながらニンマリする。
「じゃあまた明日」と最後に言ってくれた彼に元気よく返事をし、電話を終了させる。
実は明日のデートの場所は宮舘宅である。
親が不在とのことでゆっくり出来るよと言った宮舘くんに大賛成した私。
死ぬほど緊張しているが楽しみで楽しみで。
その夜は興奮して寝れなかったくらいだった。
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次の日の朝。
待ちに待った彼とのデート。
お気に入りの服と程よいメイクで準備万端である。
約束の駅前に行けばもう既に宮舘くんは来ていて。
「お、お待たせしました」
ひぇえ普段着オシャレ…
私服を見るのは初めてではないが、直視することが出来ず動揺してしまう。
小走りで近付き声をかけた私に気づいた宮舘くんは、軽く手を上げる。
「おはよ。あれだね、やっぱし制服じゃないと新鮮」
可笑しそうに笑う宮舘くんにつられて笑顔になる。
何だかくすぐったい。
わざわざ私の最寄り駅まで来てくれたことにお礼を言いながら一緒に電車に乗る。
宮舘くんの家の最寄り駅までレッツゴー
「お昼は食べに行こうか」
「どこ行く!?ラーメン!?」
「二言目にラーメンって、面白いねA」
「え、じゃあお寿司?ハンバーグ?」
「ちょ、笑わせないで 笑 全部Aらしくて余計おもしろいんだけど」
好物を並べただけで笑われるなんて心外だ。
自分でもお子様のような回答だという自覚はあるが。
仕方ない、好きな物は好きなのだから。
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作者名:ガム | 作成日時:2022年9月25日 15時