cosmic is きらきら (ページ42)

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シュワシュワフライデー(YEL) ページ42

はぁ、今日も疲れたな。
首をぱきぽきって鳴らして歩く帰り道。

ビールあったかな？
ちょっと割高だけどコンビニで奮発してしまおうか。

スマホを確認する。

『まだー？』

にやけ顔をストールで隠して早足で向かう。
あ！そうか今日は、金曜日。

「ただーいm」

「おかえり！おせーよ！」

長くなった前髪をちょこんと縛って、光くん登場。

「そんなこと言うとおつまみは渡しません」

「えー！それはなし！つまみを人質にするのなし！」

「人質ってなに！」

光くんは同じ会社で働くシステムエンジニア。
機械にバリ強い。
ソフトウェアもハードウェアも御茶の子さいさい。
機械にバリ弱い私がプライベートでよくパソコンを直してもらう仲で、エブリフライデーに酒を酌み交わす仲。

になったのは、社内運動会でのこと。

部署が違うから見たことあるなーくらいの存在だったのに、同じ競技に出て意気投合。

最初は職場近くの居酒屋だったんだけど、パソコンを直して欲しい流れから宅飲みになり
それからずっと宅飲み。

「ねえ、来週家にしない？光くんが教えてくれたソフトの使い方忘れちゃって」

「ほんとに？俺丁寧にマニュアル印刷して渡したよね？」

「……」

「まーた"壊した"んでしょ」

「違う！"壊れた"の！マウスを動かすと音がね、ビービービービーいうの」

「何したの」

「何もしてない！勝手に壊れた！」

「そんな簡単に壊れませんー。機械音痴がすぐ言うやつだわそれ」

きゃはははって無邪気に笑う横顔を見てグラスを傾けた。

熱い。
酔いがまわってきたかも。

「光くんは付き合いでたしなむ程度だよ。お酒を好んで飲んでるイメージないけど」

髙木さんがそう言ってた。

私のこの毎週金曜日は光くんにとってなんなんだろう。
仕事上の付き合い？
今更断るのも…って考えなのかな？

じゃあ、もしかして光くんは楽しくない？

カラン

氷が溶けた。

「なーに？今日は酒の気分じゃねーの？進んでないじゃん」

「いやー、酔いが回ったかなって」

「そ？こんな量じゃ酔わないでしょーよ、Aさん」

何かあった？言ってみ？

片眉を器用にあげる光くん。

分かんない。

私だってこのもやもや分かんない。

「お花見したいな、髙木さんとか誘ってみんなで！金曜日の終業後がいいかな？土日に集まるの申し訳ないもんね！その方がいっか！」

笑顔の早口でもやもやを隠した。