ゆるふわ系(GRE) ページ4
数日後、社内に広がった噂。
岡本くんが女性と腕を組んで楽しそうに表参道を歩いてたって。
その女性は同じ部署の子と後ろ姿が似てたって。
同じ部署ってあの子だよね。
傘の時の。
そっか、よかったね。
あの子が君の"特別"だったんだ。
「あれあれー？お前岡本と仲良さげだったのに。振られちゃった？」
うざいやつ。
同期って基本仲良いけどこいつだけはどうも好きになれない。
「俺が慰めてあげよっか。まぁあんなやつやめとけって。ただ顔がいいだけでしょ？お前とは釣り合わないって」
早く消えてくれないかな。
傷心にあら塩を擦り付けられてる気分だ。
痛い。
「今日暇？俺はいつでもいいよ？ねぇ、何か言ってよ」
「離して、」
「僕の容姿を褒めてくれてありがとうございます、竹内さん」
そこには岡本くん。
私の腕を掴む同期の腕を掴んでいる。
「竹内さんはどんな子が僕に釣り合うと思いますか？詳しく聞きたいです！」
「え、あっと。え、なにを…」
「僕とAさんは釣り合わないんでしょ？Aさんと釣り合うのはどんな人ですか？気になります」
にこにこ。
.
岡本くんと並んで歩く。
「久しぶりに少しだけいらっときちゃいました。すみません」
私たちが向かうのは備品倉庫。
私はコピー用紙を、彼は養生テープを。
「ごめんね」
「俺のこと言うのは全然いいんです。なんでAさんを困らすこと言うんですかね」
フロアも違うのにA4用紙を一緒に運んでくれる優しさは"特別"じゃない。
みんなに向けられる優しさ。
勘違いしちゃだめだ。
「Aさんと釣り合えるように、もっと仕事がんばります！」
頭の中、懐かしい曲が巡る。
違う違う、そうじゃ、そうじゃない。
お前は顔だけだってディスられてんだよ？なんでもっと怒らないの？怒っていいよ？
あれ？私がおかしいのかな？
思考回路はショート寸前。
「それから表参道を歩いてたのは姉です。Aさんだけには勘違いされたくないので」
「え？」
勘違いしちゃだめだ。
勘違いしちゃだめだ。
勘違いしちゃだめだ。
「ほんと、考えてること筒抜けなのも姉とそっくりですね。それじゃあまた！」
上書き修正された噂が流れた。
"岡本はシスコンで、その姉はA似らしい"と。
End
_________
メインディッシュにaiを添えての主人公弟ver.kt
うちの岡本はゆるふわ系です。
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作者名：もぶ | 作成日時：2017年1月24日 15時
