cosmic is きらきら (ページ23)

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いいわけ姫(RED) ページ23

「あー……待ち合わせしてたんだけど、交代の人が風邪ひいて休みになったらしくて…まだ仕事上がれないって連絡が入って」

その人はちょっと言いづらそうに、視線を右往左往泳がせまくってる。

「延長ですか？何時まで？俺らも一緒に待ってよっか」

私とあまり目線が変わらない涼介は人懐っこい笑顔で振り返った。
さっきのかっこいい微笑みは少しも面影がなくて…
こんな笑い方もするんだって気持ちと、なんて返事すればいいのって困惑。

「え！いい、いいよ！めっちゃ悪いよ！せっかくのデートで可愛い彼女さんとの時間をお邪魔したくないし！予定もあるだろうから」

私は、何も言えない。

「いや、俺ら特に予定ないし。あ、近くにブルックリン系のカフェありましたよね？話聞いてて俺も行ってみたくて！」

「ほんと、ほんとに大丈夫だから！彼女さんも困ってるじゃん！1人で待てるよ！」

「待ってるのって退屈でしんどいじゃないですか。相手を気にして買い物もできないし…」

ヅキン。
それって、今日の私のこと？遅刻したことの嫌味を言われてるの？

「あ……いや、あの。山田くん……彼女さん、怒っちゃってない？」

「あ？」

「さっきよりだいぶあの、ご乱心な雰囲気が…」

ひそひそと涼介に耳打ちしてるのに…雑踏の中、彼女の少しハスキーな声がクリーンに聞こえる。

ええ、私だいぶご乱心です。
もう言っていいかな？

「予定、あるよね？今から映画観るんじゃん！何勝手に予定変更してんの？！なんで私まで一緒に待ってなきゃなんないの？意味わかんない！！」

少しほっぺを膨らます。
このわがままでさえも可愛いって思ってもらえるように。
優しい涼介だから、私の意見を聞いたらきっとこの人とはバイバイして映画館に向かうはず…

「なぁ、お前まじなんなの」

「え…」

「予定変更してんのお前じゃん。俺も昨日仕事遅くまでだったわ。疲れてんのも一緒だっての。自分はよくて俺の変更はだめなの？まじ自分勝手」

冷えきった。
カチコチに凍りついた。
もしかしてもしかして、私涼介を怒らせたの？

「山田くん。普通に考えて同僚の私より彼女さん優先にしたげなよ。そんなひどいこと言っちゃだめ」

目の前の女性も真っ青になってる。

「だって、だって…」

「Aさ、いつも"でも"とか"だって"って言い訳するよね。…俺2時間以上待ったんだ、でもAから謝りもなかったんだよね。急いで来るわけでもねーし」

言われて気づいた。