いいわけ姫(RED) ページ22
ランチの約束を飛ばした。
いやいや、起きるつもりだったよ？起きれると思ってたよ？
でもアラームに手を伸ばして、その先はちょっと思い出せない。
起きたら約束の時間は過ぎてた。
「どーする？」
「Aが昼飯食いながら決めるって言ったんじゃん」
「とりあえずお腹空いたからご飯食べていい？」
「は？俺もう1人で食ったんだけど」
「だから涼介はデザート的な？」
「…どこ行くの」
「この前入れなかったカフェ！」
そう言って涼介の手を掴んだ。
今日は涼介も仕事休みだし、私も休みだし久しぶりに2人でゆっくりお出掛けしたいねって話だった。
2人でゆっくりする時間は予定より少なくなっちゃったけど、土日の疲れを癒すことはできた！
結果オーライ！
「昨日は店の展示会で遅くまで仕事だったの。芸能人も来てたんだよ！」
「そっか、お疲れ様」
そう言ってカップを手に取り微笑んでくれる涼介。
すっごいかっこいい。
彼とは友達の紹介で知り合ったんだけどすぐに意気投合して、出逢った次の日にデートして、その帰りには恋人になってた。
言葉にすると陳腐だけどこれは運命だと思ってる。
優しいし、かっこいいし、可愛いし、負けず嫌いなとことか、料理もできちゃうとことか…
もうとにかく全部全部大好き。
美容師のことはよく分かんないから涼介の仕事の話はスルーして
「涼介！今日は映画でも行か、ない？」
食べていたパスタからふと見上げた涼介はあくびを噛み殺してた。
「疲れてる？」
「ヘーき」
「そう…でね、この映画観てみたいなって思ってたんだ！」
「…あ、少女漫画の映画化のやつかー最近多いよな」
「いい？」
できるだけ可愛く見える角度、上目遣いで口角を上げる。
自撮りの時も必須の位置だから大丈夫。
「いいよ、食べたら行こっか！」
涼介は優しい。
大きなスクランブル交差点、すれ違う人並みの中
個性的なハット、ツートンカラーの髪、ちょっとガチャついた服を身に纏うだいぶ小柄な女性がこちらに控えめに手を振った。
「あ！おつかれ様です！！」
「昨日遅くまでありがとう」
「いえ！俺もめっちゃ勉強になりました！」
女性は駅の方に向かってて、私たちは映画館に向かってた。
…はずなのに、そのまま涼介は仕事の話？を続けるから。
駅に向かっていた女性の足はUターンをかまして私達とCDショップの前。
「今日はどうしたんすか？」
涼介の質問に女性の顔が曇る。
だから私も曇った。
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作者名：もぶ | 作成日時：2017年1月24日 15時
