cosmic is きらきら (ページ3)

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ゆるふわ系(GRE) ページ3

傘と一緒に仕事中につまめるかなってシリアルが詰まったキューブチョコレート。
違うフロアってだけでこんなにもアウェー。
食堂で渡そうかなとも思ったんだけど、変に注目を集めたくもないし。

岡本くんはちょうど席を外してたから席に置いてもらうことにした。

「圭人くんに傘借りたんですか？仲良しなんですね」

「あ、事故みたいな感じで…すみませんお願いします」

明らかな敵意。
笑顔を貼り付けた彼女はそれ以上聞くことはなかった。

.

ざわつく食堂。
私の目の前に座ってお弁当をひろげるのは岡本くん。

「わざわざ返しに来てもらっちゃって…ありがとうございました！チョコ美味しかったです！」

なんのためにここで渡すのを避けたと思ってるの？

すでに来月のバレンタインに向けてチョコレート売り場が早々に出来上がっているコンニチ。
"チョコ"の単語に女性社員はますますざわついた。

完全に私のチョイスミス！！

他意はありません、これっぽっちもありません、ただ傘をお借りしたお礼なんですぅぅぅぅ！
と荒れる心中を隠して笑った。
上手に笑えてる？

「そのお弁当はお姉さんが作ったの？」

「いえ！姉の料理は創作料理に近いので、お弁当箱には入り切らない壮大なスケールなんです。これは姉の彼氏が作ってくれました！」

「ふ、ふーん。そっか！」

気になる、なに、壮大なスケールって。
そこまで小さくないお弁当箱だけど…ストーリー性があるのかな？

「俺も姉と一緒に料理習ってて。光すっごい上手なんですよ！」

美味しそうな色とりどりのおかず。
それをぱくぱく放り込んで、ほくほくのえびす顔。

「あ、よかったらどうぞ？」

「いいよ、私はこれがあるから」

社食Aをつつく。
通知の入ったケースのないスマホを取り出した。

「…姉からです」

へへ、と嬉しそうに笑った。
本当に仲良いんだなぁ、どんなお姉さんなんだろう、私と同い年なんだっけ？

「俺、後悔してることがあるんです。姉が辛い思いをしてた時、俺は何もできなかった。それで半年くらい姉と音信不通になっちゃって」

もう後悔したくないんです！そう言って最後の一口。

私の心は冷えきった。
なんて勘違いをしてたんだろう。
先輩の言葉を間に受けて、恥ずかしくなるくらいに思い上がってた。

「じゃあ、私そろそろ戻るね」

「はい！ほんとありがとうございました！」

私が困ってるのを見て、もう後悔しないように傘を貸してくれたんだ。
そこに"特別"はない。