cosmic is きらきら (ページ14)

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ハウリングオーケストラ(BLU) ページ14

そこから電車を2本見送って…
とめちゃんはわざとらしく腕を組みながらふむふむして私の話を聞いてくれた。
もちろん、そういう関係だってことは隠して
ただ"もう飯食いに行けないって言われた"程度に。

「いのちゃんは"特定の女"って、言ったんだよね？」

「そうだよ」

「それって彼女じゃないんじゃない？」

「え？！」

「いのちゃんならそこんとこ濁さずに彼女って伝えちゃう気がするけどな！俺は"特定"って聞くと関係性としては無機質に受け取れる。だとしたら、多分あの子だから」

いやー、その子とはこの前こうやって駅でばったり会ってるんだよね。
とめちゃんのあの子と私のその子が同じか分からないんだけどさ。

「ごめん…今回のことは俺らも悪いの！もう少しだけ待っててくんね？解決したらいのちゃんすぐ返すし」

とめちゃんは今日営業先から直帰らしくて、普段この線は使わないらしい。
さっきはあんまり喜べないなんて思ってたけど…やっぱりとめちゃんに会えてよかった。

「ありがとう。そうやってとめちゃんに言ってもらえたら待てる気がする」

「何それ！買いかぶりすぎじゃね？ははは！」

だって、とめちゃんといのちゃんはルームシェアまでしてたし。
部屋で一緒になるのに大学でも一緒に笑ってるところをよく見たし。
いのちゃんはとめちゃんのこと、とめちゃんはいのちゃんのことをよく分かってる気がする。

「もし彼女できてたらごめんね？でもいのちゃんにそんな気配はないよ、大学時代からね」

その瞬間に電車が入ってきて、生ぬるい風を感じた。

意味深に笑ったとめちゃん。
何に気づいてる？どこまで知ってる？

「俺これ乗るけどどうする？」

「…もう1本遅らす。話聞いてくれてありがとね！」

「じゃあ、また何かあったらいのちゃんから俺の連絡先聞きなよ！…教えてくれるかは分からないけど」

完っ全にからかわれてる。
教えてくれるに決まってるじゃん。
とめちゃんと私が連絡取り合おうと何しようといのちゃんは何も思わないもん。

扉が閉まる。
手を上げて笑うとめちゃんに私も同じように挨拶した。
とめちゃんには適わないや。

"何度もしつこく連絡してごめんね。今とめちゃんにあったよ！久しぶりにご飯にでも誘いたいからとめちゃんの連絡先教えて！"

このメッセージだけ送ると次の電車に乗った。
多分…とめちゃんはこうしろって伝えてくれてたんだと思うから、その指示に従う。

結局その返事は来なかった。