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ハウリングオーケストラ(BLU) ページ12

会社の女子会はいわば上司の悪口に始まり上司の悪口で終わる。
1コ上の先輩と1コ下の後輩と溜まりに溜まった鬱憤を吐き出す定例会。
毎月第2火曜日に開催するのが決まり。



「あ、そういえばAさんの友達以上恋人未満な彼の話聞きたいです!」

「それ私も気になってたー!なんか進展あったの?」

「やめてやめて、そんなのないです!」


2人は彼氏持ちだしおもしろがって聞いてくるけど人の事情聞いて何が面白いんだろう。


「それよりさつきちゃんはディズニーデートどうだったの?お土産ありがとね」


「それが聞いてくださいよー彼氏が…」


話を反らした私は、それはさつきちゃんが悪いんじゃない?的な話をうんうん相槌打ちながら適当に聞いた。


最近めっきり連絡が減った。
今までならなんでもないLINEも送れてたのに"恋人でもないんだし不要っしょ"の一言で送れないでいる。

「あー、それはやだねー」

どこまでなら友達?どこからが恋人?
どこまでは許されるの?
ボーダーが曖昧。
否定されるのが怖い。

はたと気付いた、これって今までの彼氏と一緒じゃない?
それで気を遣いすぎて疲れちゃうパターンじゃん。
そうだ、いのちゃんに気ぃ遣うことなんてないんだよ何やってんだ。

そっとトーク画面を開いた。


「次行った時はもっとわがまま言ってみれば?」


最後は2週間前の"おやすみ"で終わってる。
こんなに連絡しないことって初めて。




"今日そっち行ってもいい?"

するとすぐ返ってきた"ごめん"の文字。

「今度3人でディズニー行きたいね!」



"じゃあ明日は?"

こういう時、女に生まれてよかったって思う。
適当に合わせた会話しながらLINEができるし化粧直しもできる。


「Aさーん、さっきからLINEですかー?彼から?!」

「違う違う!お母さんから!」


それから私は化粧を直す手を止めた。
だって、直したって意味無いから。
だめって断られても酔った勢いで押しかけちゃおうかなって思ってたのに。
酔いもさめたし目もさめた。







"俺今家にいないよ。それから特定の女ができたししばらく会えないや。ごめんね"




特定の女、ってなに?

私だって彼氏いた時あるよ。
でもいのちゃんから連絡入れば行ったし。
は?なんなのそれ。
女ができたらもう用無し?


「あはははは!」

「どした?!酔い回った?」

「飲みすぎちゃいましたぁー」

"友達"を振りかざして都合よく使ってたのはいのちゃんも私も同じ。

今日はもう早く帰りたい。

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設定タグ:平成跳 , HSJ , Short   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:もぶ | 作成日時:2017年1月24日 15時

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