ゆるふわ系(GRE) ページ1
9月入社の彼。
優しい雰囲気とちょいちょい出てくる英語。
仕事は…パキパキできる感じじゃないけど
できることを少しずつ増やしていく、でも見ててハラハラしちゃう彼。
「Aさん。過去の資料を参考にしたいんですけど、投資関係はどこに保存されてますか？」
「それはね、共通の中の…」
「これですね！ありがとうございます」
人懐っこい笑顔が可愛い彼、岡本くん。
岡本くんは部署が違うからここのフロアには普段いない。
だけど研修も兼ねてプレゼン作りの補佐になったらしく、ちょくちょく私の元に。
そんな岡本くんは女子社員の注目株で。
お昼の時間ともなれば食堂に向かう前、飲食で落ちるにも関わらず口紅を塗り直し、ファンデーションよれを気にする面々。
リップティントにしました！なんて声も聞こえてくる。
格段に美意識が上がった。
みんながハラハラ一挙手一投足を追ってる。
どの席に座る？誰と食べてる？何食べてる？
何を話してる？
あ、今笑った。
あくびしてる。
今日はよくスマホ見てるね。誰かな？なんて。
そんなこと冷めた風に観察してるけど、私だって少しは気になるわけで。
みんなみたく声を荒立ててはいないだけ。
「Aさんって、ん？あれ？2個上、でしたっけ？」
不意に話しかけられて内心びくつきながら普通を装う。
「だからか！うちの姉も2個上なんですけど、なんとなく雰囲気似てるなって。へへ」
「お姉さんいるんだね」
「今日も一緒に晩ご飯食べる約束してるんですよ！あ、こんなこと仕事中にだめですね。添削ありがとうございました」
柔らかく微笑まれて今日は定時に帰れそうにもないけどなんだか頑張れる気がした。
横のデスクの先輩に肘を突かれる。
ああ、なんだよもー。茶化されるのかな。
手止めて顔を上げた。
「ねぇ、知ってる？岡本くんってシスコンらしいよ？同じ部署の同期が言ってたんだけどさ。お姉さんのこと"ちゃん"付けで呼んでたり服買いに行ったり一緒に料理したり。それはもう大好きらしいの」
「へぇ、そうなんすかー」
顔を画面に戻して手を動かす。
「A、私が言いたい事わかってない」
「…何が言いたいんですか？」
そっと耳打ちされた言葉に思わず顔が熱くなった。
「その大好きなお姉ちゃんとAが似てるって言ったんだよ。意味分かる？」
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作者名：もぶ | 作成日時：2017年1月24日 15時
