就寝#04.5 ページ9
俺が風呂中の来客、知念はあれからご飯に行ったみたいで
結局Aちゃんとゲームはしてなかったけど、明日またオンラインで遊ぶらしい。
録画したお笑い番組を一緒のソファーで見ながらぽちぽちとスマホをいじっていると
「慧くん、まだ寝ない?」
いつもは俺が声かけるほうだけど、今日はAちゃんから?ってちょっと嬉しくなる。
理由は…
テレビCMで流れていたホラー映画のせい。
顔が少し引きつってるし。
Aちゃんは極度の怖がりだ。
本人はあんまり外に出さないようにしてるんだと思うけど。
チャンネルを変えてる最中、視聴者からの投稿ホラー番組なんてものが一瞬でも映ったら…
声まではあげないもののこっちがびっくりするくらいに肩が跳ね上がる。
わかりやすさの塊みたいな人。
俺とこんな関係になるまでどうしてたんだろう。
ひたすら見ないようにしてたとか?
でも不可抗力でもしも見てしまったら…ぷるぷる震えながら走ってベッドに潜り込んでた?
そんな可愛らしい姿を想像して頬が緩む。
「んー?もう少しゆっくりしてからって思ってたけど?」
とかなんとか、ちょっと意地悪く言ってみる。
ちらりとAちゃんに目をやると、Aちゃんはただただぼーっと一点を見つめている。
「Aちゃん、考えごと?」
深く考えずに顔を近づける。
ふわっと、
俺のと同じ匂い…俺のってかAちゃんの匂いっていうのが正しいのか。
シャンプーとか柔軟剤?
発生源はよく分からないけど、もう俺自身にもよく染み付いたやつ。
「それとも怒った?」
未だに遠くをぼやっと見てるAちゃんの長いまつ毛を見つめる。
「…ううん。ただ」
不意に俺の方を向いたAちゃんは俺との近さにびっくりしたみたいで後ろに飛び退いた。
はい可愛い。
悪戯成功。
にやっとした笑みを隠しきれなかった俺に若干いらっとしたららしい。
肩をぽんっと軽く押されて俺は背中にあったソファの背もたれに沈んだ。
「はいはい、私はもう寝ます!それではおやすみなさい!」
ずむずむ、みたいな効果音が出てそうな大股歩きで寝室に向かう。
Aちゃんがよくやる怒ってますアピール。
「ちょ、ちょっと待ってよ俺も寝るってば」
慌ててテレビを消して
ピンクと白のボーダー、ふわもことしたルームウエアの小柄な後ろ姿を追った。
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作者名:もぶ | 作成日時:2020年2月3日 12時