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「ねぇ、本当に会わなくていいの？」
「うん」
「ホントのホントに？」
「うん」
「あんだけ会いたそうにしてたのに…」
「うん」
俺まじで変なもん食っちゃったのかも。
柄にもなく緊張して、やっぱりやめとこって気分になったから待ち合わせ場所から離れてしまった。
それにAちゃんに会いたかったっていうのはなんか語弊がある。
(会ったこともないのに馴れ馴れしくちゃん付けで呼んでるけど)
女の子と気さくに話してる知念を見てみたかったんだ。
「でももうそろそろ待ち合わせの時間だし、Aくるよ？まじでどうするの？」
「いや、やめとく。帰るわ」
頭のどこかで会うなって警鐘みたいなのが鳴ってる気がしてんの。
「じゃあさ、先にあのカフェいといてよ。Aと入るし。もし気が変わったら偶然を装って僕に声かけてくればいいじゃん」
断ろうと顔をあげると、こちらに近づいてくる足音が聞こえた気がしてすぐに俺は知念から離れてカフェに向かった。
「あ、知念いた！この場所めっちゃ分かりにくいんだけど！なんでこんなとこ待ち合わせなの？」
「は？ちゃんと丁寧にLINEでマップ送ったじゃん。地図読めないの？頭悪いの？」
「なにその言い方！久しぶりに会ったのにさぁ」
「ボイチャしてるから久しぶりって感じでもないよ」
俺の背中側から楽しそうな声が聞こえる。
思った通り知念はツンツンしてるけど声色がもう楽しくて楽しくて仕方ない感じだ。
好きな子に意地悪しちゃってる小学生みたいな。
…好きな子？
『大切には、して欲しい、かな』
そう言って少し寂しそうに笑った知念が鮮明になる。
ああ、きっと、知念は。
____________________
「ちゃんとAのこと大切にしてあげなきゃだめなんだからね」
「うん」
「あ。あと僕とのゲームの時間は確保してよ」
「うん」
「てかご飯おごってよ」
「うん」
「僕の紹介なんだし？紹介料もらってないし」
「うん」
「…だから、幸せになってね」
「ありがと知念」
「うん」
「知念」
「うん」
「俺知念もだいすき」
「僕はそんなにかな」
「そっか」
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作者名：もぶ | 作成日時：2020年2月3日 12時
