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そんなこんなで私たちは1年ちょっと、このへんてこなおともだち関係を続けている。
そう、一緒にご飯を食べて添い寝をするフレンド。
ソフレ。
ただそれだけ。
私が今まで疑っていた関係性はきちんと成立していたのだ。
1年のうちたった359日くらいをともに過ごすだけの、ただのおともだち。
ぽちぽちとスマホをいじっていたと思ったら2人では狭いセミダブルをぽふぽふと叩かれた。
「ねえ、Aちゃん、はーやーくー」
最初に『ワガママ言わない』と言った口はどこへいったのか。
いや、そもそもあんまりワガママ言わないってことだからこれは慧くんにとってワガママには当たらないということ？
どこからどこまでがワガママ？
手を繋いだ時点で…そこにやらしい気持ちがあった時点で浮気よ！！
なんて発狂する女の気持ちが少しだけ分からないでもない。
とにかく私は知念にも慧くんにも騙されたのだ。
明日の朝のゴミ出しの準備を終えてベッドにそっと落ち着いた。
私が布団に入ると、今までいじってたスマホを律儀にヘッドボードにおいてくれる右手が好き。
それから私が狭くならないようにそっと移動してくれるところも。
左向きじゃないと寝れない私の背中に置かれる温かい手の感覚も。
私のふくらはぎに少し控えめに触れてくる冷たい爪先も。
あと
「おやすみ、また明日ねAちゃん」
優しい声でささやくとこも。
慧くんが与えてくれる温度はすべて心地よい。
そこまで考えて、もう考えないようにした。
好きだけど、その好きは世間一般で共通の好きではないと思う。
LoveとLikeの差、とかではなく。
形容し難い…なんというか本当に庇護欲なんだと思う。
手を繋ぎたいとか抱いて欲しいとか
付き合いたいだとか愛して欲しいだとか
そういうんじゃない。
ただただそばにいて欲しい。
温もりが欲しい。
一緒に寝ることで心が満たされる。
きっと、この関係が終わることがあれば私も不眠症になってしまうだろう。
「また明日ね、」
静かな寝息を邪魔しないように。
そっとそっと。
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作者名：もぶ | 作成日時：2020年2月3日 12時
