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「まぁ、そこらへんの事情は置いといてさ。ペット飼いたくない？」
「…いきなりぶっ飛んだねー」
さほど私のつっこみには興味を示さず、カクテルに浮かんださくらんぼを弄ぶ知念。
「Aは動物好きだよね？この前も赤ちゃんと動物の仲睦まじい動画見て悶えてたじゃん」
「あれね。うん、好きだよ。庇護欲の一種なのかな？だけど実際動物は飼ったことないしうちはペット可じゃないし」
「それがさ……ギリセーフなんだよ！Aのアパートでも飼えるやつだから！」
後日、ペットを連れてアパートを訪れる手筈の知念をいくら待ってみても来ず。
実際現れたのはふわふわと毛先を遊ばせた茶髪を携えた色白の美青年だけだった。
「伊野尾です。よろしくお願いします」
うん、とってもお行儀がいいね。
「基本的に好き嫌いあんまりないし、そんなにワガママは言わないです。もし嫌なことがあったらはっきり嫌って言ってくれれば」
それにとってもとってもお利口。
「じゃあまずお風呂借りようかな？パジャマは持ってきたから。タオルはそこのやつ使っていい？あ、今日の晩ご飯はなに？」
遠慮がないのが玉に瑕かもしれない。
「って！え！！！どういうこと？！」
________________
これが私と慧くんの出会い。
人を"ペット"呼ばわりする知念には心底うんざりする。
けどたしかあいつは友達のことを"財布"って呼ぶこともあるから…
まぁたしかになって頷ける。
今になって考えると最初の”ソフレ”ってワードが軽いジャブだったに違いない。
「俺ね、人肌がないとなんでか眠れないの。昔は逆だったんだよ？隣で人が寝てるとか熟睡できない気がしてたし」
「うん」
「でも最近寝不足が仕事にまで支障きたしちゃって。ここ2週間くらい知念に添い寝のお願いをしてたんだけど。知念もいろいろあって」
「あー(…私は厄介払いか)」
「そしたら友達ですごく面倒見いい子がいるって」
「あー(知念の前で庇護欲なんて言うんじゃなかった)」
「知念が大親友なんて言うからてっきり男だと思っててびっくりしたけど。Aちゃんがいい人でよかった！」
ニコニコしながら山盛りのご飯をたいらげる姿には清々するし、
とりあえず何もしない、添い寝だけ。ということなら。
それに食費と家賃も折半ということで…了承。
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作者名：もぶ | 作成日時：2020年2月3日 12時
