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「あー！もう！〜……の！」
ぼんやりと譜面を眺めていた時、hikaruくんの大きな声が聞こえてきた。
「〜〜」
微かにAちゃんの、声？
いてもたってもいられずに部屋を飛び出してAちゃん家のドアノブを引いた。
hikaruくんを止めるよりも何よりも、Aちゃんが心配で。
hikaruくんとAちゃんは相性が悪いわけじゃない。
ただ、お互いにこだわりが強いところ？ちょっとぶつかってしまうことがある。
hikaruくんは「ごめん言いすぎた」って笑うけど、Aちゃんが気にしてるのも知ってるから…
まずはAちゃんの方にフォローにってベランダに向かったら。
震えながら、泣き笑いみたいな声で「でも、まだ、私と結婚、したいって思ってるかな」って。
もう、ほんと、ばっっっかじゃねーの！！
こんなことAちゃんに言いたくないし、言えないけど。
俺、そんなに愛情表現下手？
確かに断られるのが嫌でいつまでも結婚という形に煮え切らないヘタレな男ではあったかもしれないけど。
そこまで疑われるの？って逆に悲しくなった。
こんなに切ないのに、どうしても手を伸ばしちゃう。
1度は諦めようと思った。
気づけなかった自分が遅すぎたんだって言い聞かせた。
有岡くんの方がAちゃんを支えられるのかもしれない。
それくらいの決意と覚悟を有岡くんから感じたのは確かで。
でもね、やっぱりだめだった。
どうしても俺にはAちゃんじゃなきゃだめ。
メジャーデビューの時、2柵最前で有岡くんと笑いあってるAちゃんをモニターで見つけた瞬間
hikaruくんの制止も振り切って気づいたらAちゃんの腕を引っ張ってた。
本番前になにやってんだよって本気で怒られたっけ。
でも俺はあの日のことを少しも後悔してない。
もっと、もっとちゃんとするから。
仕事も、Aちゃんのことも、これからの2人のことも。
だから、そんな悲しそうに笑いながら言わないで。
俺にはAちゃんしかいないから。
もっと俺を受け止めて欲しい、受け取って欲しい。
不意に、出会った頃の「有岡くんにもっと愛して欲しかった」って泣いてたAちゃんを思い出して苦しくなった。
「なんでそんなこと言うの！」
俺には君が必要だって、あの時から感じてる。
あの、冷やし中華の時から。
いつも俺を照らしてくれてたのは君だよ。
ベランダを見ると、サムズアップしたhikaruくんの手が見えた。
End
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作者名：もぶ | 作成日時：2018年4月8日 15時
