突撃！となりのバンドマン(Keito.O) (ページ38)

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いつの間にか好きだった。
ギターを弾くかっこいい姿も、甘えてくれる可愛いところも。
大貴には見せられなかったありのままの自分でいられる余裕さも心地よくて。

「…だめ？もう圭人のこと嫌い？」

『結婚』より何より
今までずっと一人称が「俺」だったのにやっぱり「圭人」なの？ってなって笑えてきた。

「え、なになに、え、わかんないんだけど！」

私はいよいよ笑いが止まらなくてお腹を抱えた。
笑いすぎて涙まで出て、圭人がぶよぶよに滲む。

「どうしたの？！…誰？Aちゃんに笑い薬飲ませたのは！」

違うの違うの、そうじゃなくて

伝えたいのに1度ツボに入ると抜け出せない。

「あー、明日筋肉痛だな。久しぶりにこんなに笑った」

「…おいてけぼりなんですけどー」

「ごめんね」

ぽん、と手を置いた圭人の肩。

笑い声に震えていた部屋がまたしんと静まり返った。

「Aちゃんが無理でも、絶対絶対結婚する」

「圭人」

「今でもまだ有岡くんとは連絡とってるんだよね？最近はどうなの？まだ何かあったりする？」

「ねえ」

「俺さ、俺ね、心配なの。これが愛なんだって気づいた時には遅くて。Aちゃんはもう遠くて」

「…」

「すごく後悔した。最後に会った時『家の中で話したら？』ってAちゃんに言われて。でも俺、どうしてもできなかった。Aちゃん以外の女の子を部屋になんて通したくないから」

あの時は、私もきつい言い方して悪かったって今なら思える。

Hikaruくんのこともあって…

「私、マイナスにならない？」

「へ？」

「圭人にとって悪い因子じゃないかな？」

だって私より、事務所関係者のご令嬢の方が…それに今や全国に大勢いるファンの皆様。

「Aちゃんと一緒にいて圭人がダメになるならそれはAちゃんのせいじゃなくて圭人のせいだと思うけど？違う？」

「え」

「それはファンに対して？
Aちゃんとのこと、応援まではいかなくても2人で幸せになって欲しいなって思ってもらえるように真摯に対応する。その為に曲を書き続けるしライヴ1本1本大切にする、みんなを大事にする。
Aちゃんと結婚してからの圭人の方がかっこいい圭人でいられるようにもっと努力するよ。
マイナスだなんて圭人が言わせないから安心して」

すでに結婚する前提、ある程度の図々しさが含まれる言葉たち。
でもそれ以上に嬉しかった。