突撃！となりのバンドマン(Keito.O) (ページ36)

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幸せの約束ページ36

だいぶ更新遅くなりました。すみません…

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「ホームシック」

そんな独り言をつい呟いてしまった自分自身にびっくりした。

ライヴが終わって挨拶もそこそこにそのまま車で拉致られた。

その見覚えのない車が乗り付けたのは見覚えのある家。
メゾネットタイプの家。
私たちが「元おとなりさん」だった家。

なんで？

ここの部屋は引き払ったんじゃないの？
さっき「事務所側が突然新しい部屋を借りちゃった」的なことを言ってたのに…

戸惑う私に気づいたのか
「家賃はずっと払ってたんだよ。Aちゃんのおとなりさんは俺がいいから。あ、でもAちゃんは引っ越しちゃったんだよね？今のAちゃんのおとなりは空いてるかなぁ？でも、これじゃあストーカーみたい？」って一気に捲し立て笑いかけられた。
何も言えずに頷くしかない私。

(頷いたのは「ストーカーみたい？」っていう質問に肯定したんじゃなくて、私の疑問は解決したよっていう意味で)

私が大貴と一緒に住んでいた部屋とは左右対象でこの部屋の違和感は計り知れない。

まず、圭人が運転免許持ってること自体にもびっくりしたのに…
いろいろついていけないことだらけでなぜか笑えてくる。

圭人は何を考えてるの？
なんで住んでもいないのに家賃払い続けてんの？

なんとなく分かってるけど、あんまり分かりたくないような。
そんな気分。

家賃だけ払っていた生活感のない圭人の部屋。
何も無い、カーテンさえもない。
住んでた頃のギャップ。
あの頃は結構ごちゃついてて、でもギターだけはすごく丁寧に…

そんな事を思い耽っていたらシャワーの音が止んで、思わず背筋を伸ばした。
何も無いからこそ部屋中の音がクリアに聞こえる。

もうそろそろお風呂からあがった圭人がこの部屋に戻ってくる。

心臓の音がひどくて吐き気やら頭痛を起こしながらただ抱えた膝を見つめた。

「Aちゃん、お待たせ。ごめんね汗臭いかなって」

「ううん、全然全然」

「うん…部屋来てくれてありがと」

『来てくれて』？
いや、強制的に連れてこられたんだけど…っていう被害妄想は今は置いておく。

久しぶりの圭人のとなり。

少し前はこれが当たり前だったのに。