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そこまで言うと大貴は大きく頷いた。
「もういい。誰と何してたか分かった。ごちそうさま、美味しかった」
シンクにお皿を片付けに立った大貴はふわりと私の頭を撫でた。
なに、なんで。
なんで大貴って中途半端にそんなことすんの？
私が無理だって泣いたときだって引き止めもしなかったくせに。
優しいのか優しくないのか分からない。
突き放してるのか引き止めてるのか分からない。
ばかだから、私ばかだからそこらへんはっきり言ってほしいのに。
「行ってきます」
「いってらっしゃい…」
昨日の話。
圭人くんの部屋でふたりで月を見てた。
ブランケットをそれぞれ頭からもそもそとかぶって、ああでもないこうでもないって話してた。
毎日のこと、夕ご飯のこと、好きな食べ物のこと、家族のこと、近所に住む野良猫のことやうるさく吠える犬のこと、
スーパーのタイムセールのこと、子供のころの遊びのこと、ファストファッションのこと、宇宙のこと、夢のこと
とにかくいろんな他愛もないことを話してて時々うとうとして…
気付けば空は白んでた。
一緒に見ていた月よりも朝が強くなって、そして気が付いた大貴のこと。
「あ、もうこんな時間」
夜はすごく静かで、物音もなにも聞こえなかったのに
今は鳥のさえずりと新聞配達らしきカブのエンジンをふかす音も聞こえる。
「ほんとだ、え、朝じゃん。Aちゃん大丈夫？」
「大丈夫だよ」
「あー…うん、それもそうだけど」
「ん？」
「…有岡くん、帰って来ちゃってるかな」
「もう関係ないもん」
「もし何か言われたら圭人のせいにしてよ」
「え、やだよ」
「圭人が眠れなくて子守歌歌ってほしいってうるさかった！とかさ」
「だめだめ、私音痴なの大貴知ってるから」
「あははは」
「笑わないで！音痴なのまじで悩んでた時期あるし」
だけど不思議。
こんなに清々しい朝っていつぶりかな？
なんとなくだけど朝がくることにいつも不安感があったきがする。
明日なんてこなければいい。
今夜で世界が終わればいいなんて破滅的に思ってた。
「ねぇAちゃん、もしもの話してもいい？」
「ん？」
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作者名：もぶ | 作成日時：2018年4月8日 15時
