DEAR. ページ34
楽しいんだよ、泣けちゃうくらい。
私には大貴が必要で、大貴がいない生活なんてもう考えられないの。
あのバーで知り合って飲み友達になって私達いろんな話をしたよね。
お互いの仕事の話、お昼ご飯の話、まったくどうでもいい有岡ランキング、それから明日の天気。
「明日は晴れるって。なんか小春日和？あったかくなるみたい」
「A」
「こんな時期に小春日和なんて言われたってどうしていいかわっかんないよねー！衣替えもしちゃったし、もう厚手の服しかないよー」
「A！」
なんとかやり過ごせないかなぁ？
やっぱり無理？
「ねえ、ねえって。なに？どうしたの？」
涙が止まってくれないの。
ポトフ的な料理はさっきからしょっぱくて…
涙腺だけじゃなくて味覚までおかしくなっちゃったのかな。
もう、大好きすぎて苦しい。
恋愛小説とか、恋の歌とかで『胸が張り裂けそうなくらい』みたいな表現があるでしょ？
大貴を好きになるまで信じられなかったんだ。
本当にそんなことあるの？って疑ってた。
「ゆっくりでいいから、お願い、ちゃんと話して欲しい」
向かいあわせで食べてたはずなのにいつの間にか大貴は横にいて
呼吸までもままならなくなった私の背中を摩ってくれた。
あのね、あのね、
どこから言おうか。
何を言おうか。
さんざん迷った挙句、私は大貴のバッグを指差した。
「ん？洗濯物？出してくれたの？ありがと」
「う、ん…それでね、中に…」
「中に？………あ！！！！！」
そう、バッグの中に。
「あー…ごめん、本当ごめん…見ちゃった、よね？」
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作者名：もぶ | 作成日時：2016年11月22日 21時
