★☆☆ ページ3
朝イチで最新のスマホに替えた。
データのバックアップしなきゃ、って考えたけど…それはしなくてもいいんだ。
彼のこと全然知らなかった2年前に戻ればいい。
幸い熱心にやっていたゲームもないし。
連絡先だって社会人にもなればそんなに増えることは無い。
知ってたって知らなくたっていい関係ばっかり。
いい意味で断捨離気分。
彼からの連絡を気にしなくていいことにも若干慣れ始めた木曜日。
「今日さ、飲み会ってまだ人数足りない？行こうかな」
「A来てくれんの？！珍しい！！断る断る！斉藤さんよりAの方がいいもん」
「なにそれー、斉藤さんに悪いわ。でも行きたい気分」
「ふは、Aこそなにそれ。今日18時からだから！定時ダッシュね」
ちゃんと笑えてる、大丈夫。
今日は外資系の営業マンって言ってたっけ。
やり手の肉食系が多そうだしいい機会だよ。
大ちゃん以外を好きになれる自信はまだないけど…それでも前は向かなきゃいけないから。
少しだけ期待。
新しい恋の期待に縋りつかなきゃ、また大ちゃんの影ばっかり追いかけそうな気がして。
思えば彼に入れ込みまくった約2年間。
すぐ会いに行けるように同僚の飲みの誘いをいつも蹴ってた。
それでも声を掛けてくれるから申し訳なくていい返事をしても、その日に連絡がくれば大ちゃん優先。
仕事もプライベートも充実しまくっている彼。
どうしても自分から連絡なんてできなくて
いつもいつも、彼からの連絡を待ち続ける日々。
それにこんな関係だし…"会いたい＝ヤリたい"で盛ってる女とも思われたくなかった。
本当は少しだけでも会えればいいの、顔見て楽しく話したり…
こんな関係になる前の2人が懐かしいな。
「Aさぁ、なんかあった？」
「んぁ？」
「いや…私は嬉しいよ。変な男とやっと切れたってことでしょ？」
同僚にはこの不毛すぎる恋について話した覚えはない。
理由は相手がゲイノウジンだからじゃない。
到底応援なんてされない恋、反対されるのも分かってる。
でも一番は溢れる"好き"をどう話していいか分からなかった。
「だからずっと誘ってたんだよ。Aに辛そうな顔させる男なんかよりもっといい男いるんじゃない？って思ってたからさ」
「…ありがと」
そうだね、彼とはフィールドが違う。
もっと早くに気づいて離れるべきだった。
元々こんなに近づいちゃいけなかったの。
なのにほんと私って
「ばかみたい」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もぶ | 作成日時：2016年11月22日 21時
