Lead me ページ17
触れていいの？
彷徨う指は大ちゃんに辿り着かずに宙ぶらりんのまま。
細い声で、寝てる彼を起こさない音量で口ずさむのはやっぱりあの歌。
「〜〜〜♪」
寝起きで少しがさがさの声。
音源より若干低めに大ちゃんのパートを歌ってくれた。
触れることができなかった宙ぶらりんの指はすっぽりと大ちゃんに絡め取られる。
起きた…なんで？珍しい。
「お、はよ…」
「おはよ。なんじ？」
「6時ちょっと過ぎ」
んじゃあもうちょっと。って私は抱き枕化した。
顔がむぎゅっと大ちゃんの胸にくっつく。
あれから、きちんとお互いの気持ちを伝えあって確かめあってから
きっと幸せな日々が続くんだと思ってた。
だけど、私ときたら相変わらずで今度は距離感が分からない。
どこまで伝えていいんだろう。
どこまでわがまま言っていいの？
彼女、なれると思ってなかったから…もう訳わかんない。
ただこのまま大ちゃんの抱き枕になるのは癪だし
そっと大ちゃんの腕の下からにょきって自分の腕を出して抱きついた。
「ん、もう、ねむくないの？」
眠いよ、眠いけど寝るのもったいないよ。
せっかく一緒にいるの。
8時にはお迎えくるって昨日の夜聞いたし。
いやいやって大ちゃんの胸に頭をぐりぐりする。
声を出さずに笑った彼は私の背中をぽんぽんしてあやしてくれる。
空気が震える。
朝の匂い、音、温度。
大ちゃんと迎える朝はいつもの朝と違う。
一定のリズムを刻む大ちゃんの手で現金な私は少しうとうと。
「すき、だよ」
「ん？」
ぼんやりした頭でまとまらない想いを伝えた。
「大ちゃんと、一緒の朝が好き。でも朝だけじゃないよ？大ちゃんが隣にいてくれるのが、嬉しいから、好き」
自分でも何言ってるんだろうって思う。
幸せなの。
不安に思っちゃうくらい。
でもこの手で大ちゃんに触れていいんだよね？
さっきみたいに、宙ぶらりんな私の手を引いてほしい。
導いて欲しい。
.
腕の中、安らかな寝息が聞こえてきてちょっとがっかり。
寝起きだから？
普段より可愛いAを見れた。
まだ迎えまで時間あるからちょっとイタズラしちゃおうかなって思ってたのになあ。
俺の方が目が冴えちゃったよ、あーあ。
やっと捕まえた彼女はやっぱり俺の気持ちをふわふわと弄ぶ。
___________
その後の別の話。
私の文章がふわついてます。着地点がない。
やまなしおちなしいみなし。
2016.12.02
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作者名：もぶ | 作成日時：2016年11月22日 21時
