色づく花 ページ1
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幸せが日々が続いていると思ってた
でもそんなのは幻想に過ぎなかった。
あの日々の幸せも、広い目線で見れば「あのとき」と変わらない。小さなころの記憶はまやかしなのか。目の前で話している母と祖母の話を聞くと、私が思う、あの事実がどんどん塗り替えられていく。
「あのとき」とあの日々は変わらないのだろうか。
あのときは、基準が全く可笑しかった。
あのときは、言葉と言葉で「友達」と花をすり鉢ですりつぶして笑いあい、
よくわからない話に相槌を打っていた。
「あの日々」にできた花たちを、どんどんどんどんすり潰して、
鮮やかな花弁の色を、深くて暗くて重い黒に染めていった。でも、私はその行為にそのとき気づくことはできなかった。
「あの日々」の花はすぐに無くなった。
次に、「友達」は私と、私の周りの美しい花をすり潰し始めた。
周りの美しい花は、よく見ると、すこし枯れて、黒かった。「友達」がわたしが来る前にやったのだろう。
でも、その美しい花を守りたくて、私は積極的に私をすり潰し、「友達」の注意をひいた。
心臓をすり潰した。
手を毎日欠かさずすり潰した。
体形をすり潰した。
声をすり潰した。
笑って、笑って。嗤って
ある日、その土地を離れることになった。
私は「友達」のいない草原で、今まですり潰したものを眺めた。
どれも、「友達」とやったものだ。
嫌、わたしがやったんだ。
あんなにきれいだったのに
黒い
鼻の奥がツン、と痛くなって、視界がぐにゃりとゆがんだ。目元が熱い。
今まで我慢した分、目から水を流した。それは、黒く変形した花に落ちた。
ああ、また汚しちゃった
薄めちゃった
あんなに色鮮やかな花だったのに
水は止まらず、大雨のように変形、変色した花たちを濡らした。
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作者名:ささもち笹。 | 作成日時:2021年4月21日 5時