令和から来た私だけど、まぁとりあえず鬼殺隊には入るよね 弐

肆拾捌　よく響く ページ8

善逸side


「え…？」




そう言ったAちゃんは何を思い出しているんだろう。

少しだけ、怯えた音をさせている。

風鈴の音が少し、弱まる。

でもまた、強く風に吹かれて、大きくなる。




「相手は残念なことに人間じゃない。
人外の力を使う、首を斬らなきゃ死なない。
不死みたいなもの。
怖くて当然！
それでも貴方は私を守ろうとしてくれた。
あんな状況で、自分も逃げ出したいほど怖いのに、私のことを守ろうとしてくれた。
誰にでもできることじゃない。
誰かのために、誰かを守るために行動できる人は、強い人だよ。
貴方が自分は弱いと言い続けるなら、私は貴方は強いといつまでも言い続けてあげる。
だからね善逸くん、貴方は強いんだよ。
弱くなんてないんだよ。」


「Aちゃん……。」


「………って！ちょっと偉そうな事言ってみたり！ごめん！
なんか気恥ずかしくなってきた！！」




そう言って、彼女は頬を少し赤らめた。

そんなふうに誰かに言われたのは、初めてだった。

普通、男のあんな姿見たら引かない？

引いて、こんな話聞いたら幻滅とかしない？

なのに……………………なのにそんな音全然させないで、心の底からそう思ってるんだって音がする。

あぁ、この子は、君は、本心でそう言ってる。

自分の心をありのまま、言葉にしてくれてるんだ。




「ありがとう、Aちゃん…。」


「…………………橙。」


「橙？」


「あ、いや、なんでもない！！」




彼女は、そよ風に靡かれるように静かな優しい音をさせた。

その音は俺の耳に、心に、よく響く。

肆拾玖　膝枕→←肆拾漆　音がした

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