令和から来た私だけど、まぁとりあえず鬼殺隊には入るよね 弐

漆拾陸　お別れ ページ36

「とにかく！！めっちゃ心配したんだよ！！」


「いや、あの、うん。
ほんとにごめん、でもちゃんと探したよ？
でもね、見つからんくてさ。
うん、いや、ね、ごめん。」


「うん！！もうしないで！！？」


「え、あ、うん。わかった。」




もう最終選別を受けることは無いよ？って言おうとしたけど、きっとそういうことじゃないよね、すまん。



「あ、俺、帰るけど一緒に行く？
ってか行こう、結婚しよう。」


「うん、しない。」


「即答！！？」


「カァ！カァ！」




突然、私の鴉が鳴きだした。

多分行くなってことだろう。




「善逸くんはもう帰んな、お爺さん待ってんでしょ？
私はもう少しだけ藤の花見てから帰るよ。
大丈夫、また絶対会えるよ。
同じ鬼殺隊なんだし、ね？」


「うん…………じゃあ、またね。」


「うん、また。」




名残惜しそうに背を向けて帰っていく善逸くんに、手を振った。

彼は後ろを振り返らないだろうけど、彼の背中が見えなくなるまで手を振った。

玄弥くんとカナヲちゃんにも挨拶したかったのに、もういねぇし……。

そんなわけで私は呑気に藤の花鑑賞中です。

ちなみにあの子供たちはまだいるよ。

私がいるからかな？いや違うか。




「はぁ……綺麗だなぁ、藤の花…。
貴方も綺麗だよね、鴉さん。
お名前なんて言うの？」


「無い。」




めっちゃびっくりした、意外と流暢に話すじゃん。

めっちゃ日本語上手じゃん。

ん？てか無いの？




「え、無いの？なんで？」


「俺は一緒に生きる剣士に付けてもらおうと思ってる。だから無い。」


「じゃあ、私が付けていいの？」


「カァ。」




あ、それ返事なのか………。

にしても、名前、名前か……。

白い鴉、珍しいよね、ってか普通いないよね。

すごく綺麗で……特別…。




「うん、わかった、貴方の名前は＿。」

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